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事業承継のための株式対策(3)- 1(2018.7.10)

事業承継のための株式対策(3)- 1

「従業員持ち株会」の活用はどのようなメリットがあるでしょうか?今回はその
ことについて述べていきます。

オーナー会社(社長がその会社の株を全部持っている会社)における重要な取り
組みとして経営支配権の問題がありますが、同族会社での株式分散問題は経営基
盤が弱い非公開会社 *1 の中小企業にとってより大きな問題と言えます。

経営支配権の確保を前提に、「従業員持ち株会」を活用することは、安定株主の
創出、オーナーの相続対策等の面からも検討の余地があると言えます。
(活用上のメリットを考える事例として、以下の内容を前提にします)

【現状】
当社は、資本金1,000万円、社員50名の同族会社です。オーナー社長が発行済み
株式総数の80%を所有し、10%は配偶者所有、残りは同族株主以外の役員と社
外株主。

1. 資本金1,000万円(発行済み株式総数 20,000株)
2. 1株当たりの資本金の額 500円
3. 1株当たりの相続税評価額 10,000円
4. 配当率 年10%
5. 社長の相続税評価額 1億6千万円(20,000株×10,000円×0.8)

【活用方法】
社長の持株のうち、発行済み株式総数の30%(6,000株)を配当優先株かつ議決
権制限株式に転換してから社員持株会へ放出

1. 社員持株会への譲渡価額と譲渡益
売却価額:500円(売却額)×20,000株×30%= 3,000,000円
株式譲渡益:3,000,000円-(6,000株×500円)= 0
よって譲渡益は発生しない
2. 社長の相続税評価額 1億円(20,000株×10,000円×0.5)
→6,000万円の減額

次号では、活用法のポイントをご説明いたします。

*1 非公開会社:定款においてすべての株式について譲渡制限がつけられている
株式会社(特例有限会社は譲渡制限の定めがあるとみなされています)

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