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事業承継計画と株式対策 – 1(2018.5.14)

事業承継計画と株式対策 – 1

今回から事業承継計画と株式対策について考えます。

親族内承継に限らず、納税猶予制度を活用することにより贈与税を負担するこ
となしに後継者へ株式を移転することができることになりました。

経営者が株式の3分の2以上を保有している場合は比較的問題がないと言えるの
ですが、株式が分散している場合があります。代表的なのが、過去に役員だった
親族外の者が株式を保有し、相続により会社と関係のない人が株主になっている
というケースです。

会社法を活用すると、次のような方策を用いて、後継者へ株式を集中させるとと
もに、分散を防止することができます。

1. 分散した株式の買い取り:経営者・後継者個人による買取りのほか、会社に
よる自社株式の取得(金庫株)も可能

2. 株式譲渡制限条項の設置:会社にとって好ましくない者への株式の譲渡(売
却)を制限することが可能

3. 相続人に対する売渡請求条項の設置:株式を相続したものが会社にとって好
ましくない場合、会社が株式の売渡請求を行うことが可能

上記2の株式譲渡制限条項(会社法2条第17号)については、ほとんどの会社が
設置しています。ここで問題になるのが、譲渡制限株式の株主に相続が発生した
場合における、その株式の発行会社の承認です。

相続による株主の変更(相続人への株式の移転)は、“譲渡”による株式の移転
ではありません。相続財産である株式は、相続により当然相続人に承継される
(民法896条)ことから、会社の承認は必要ありません。

相続財産である株式は、相続人が数人いる場合には、いったん相続人の共有にな
り(民法898条)、その後の遺産分割によって、個々の財産の帰属が決まり、株
式を相続した相続人が株主となります。非上場株式なのに、株主名簿に会ったこ
ともない株主の名前が載ることになってしまいます。

次号も引き続き事業承継計画と株式対策について考えていきます。
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