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『実践するドラッカー 事業編 』上田 敦生 監修 佐藤 等 編著

ダイヤモンド社発行 2012年3月8日第1刷発行

(P160)
四つの分析で事業を理解する


 ドラッカー教授は『創造する経営者』で、事業分析のポイントを示しました。「これら四つの分析を総合して使うことによってはじめて、企業のマネジメントは、自社について理解し、方向づけを行うことができるようになる」と言います。
➀→業績をもたらす要因についての分析、利益と資源についての分析
➁→コストセンターとコスト構造についての分析
➂→マーケティング分析
➃→知識分析

 重要なのは、➀➁の診断の後、➂➃の分析で点検することです。たとえば堂々たる主力商品が、実はすでにライフサイクルの末期にあることが判明することもあります。暫定診断の際は、次の点に留意してください。
 第一に、分析の技術の完璧さを求めないことです。残念ながら精緻さを求めれば求めるほど、有用性が低くなる傾向にあります。大切なのは数字そのものでなく、現場で起きていることをイメージできることです。ドラッカー教授は、「複雑で神秘的な手法は無知と傲慢さを隠す煙幕である」と表現しました。
 第二に、意見の対立や判断に関わる問題を明確にすることです。およそ経営に関する重要事項は、事業の集合ではなく、定性的なものや、それゆえ判断が分かれるものが多々あります。
たとえば、製品やサービスの「市場におけるリーダーシップ」や「将来見通し」は、その代表格です。現場担当者は将来見通しを意識しているのに、管理者はまだまだいけると考えているなど、判断に関わる意見の対立は重要な事実を代表しています。
 質問して決めつけないことが重要です。さもなければ間違った問題に対して意思決定を下しかねないからです。教授が言うように、正しい答えを求める姿勢を捨て、正しい問いを用いる努力をこの段階では心がけるべきです。
 質問の対立は、見ている視点の違いでもあります。対立している事実こそが重要な情報であり、そのままトップマネジメントに上げるべきものです。
そしてトップマネジメントは、ありのままの事実をもとに事業の将来を判断します。事実そのものの適否を判断することが重要なのではありません。

 この本は、ドラッカー教授の教えの極意がわかる実践するドラッカーシリーズとして「思考編」「行動編」「チーム編」「事業編」があります。今回は、P160「四つの分析で事業を理解する」をとりあげました。会計専門家として分析し答えをだすまでのことに注力し、それをもとに戦略KPIを考えることが習慣になっていました。この本にある➂マーケティング➃知識分析をすることなく、答えを出していたのです。「正しい答えを求める姿勢を捨て、正しい問いを用いる努力をこの段階では心がけるべきです」という「真」の意味が分かりました。もっと、ドラッカーを勉強します。

『人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ 著 仁平 和夫 訳

株式会社阪急コミニュケーションズ発行 1998年6月1日初版 2010年4月6日初版第33刷

(P74 どの顧客がドル箱になっているか)
 次に、顧客を考えてみよう。分析のやり方は同じだが、この場合は、顧客別、顧客グループ別に計算する。高い価格を払ってくれるが、サービスのコストがかさむ顧客もいれば、製品を大量に買ってくれるが、値下げを厳しく要求してくる顧客もいる。プラス要因とマイナス要因が相殺される場合もあるが、そうならない場合のほうが多い。先と同じ計器メーカーについて、分析結果をまとめたのが、図表9である

 どういう基準で顧客を分類したかを、以下に説明する。「タイプA」は、販売額は小さいが、直販であり、高い価格を受け入れてくれるため、粗利益率が極めて高い。サービス・コストはかさむが、高い粗利がこれを埋め合わせている。「タイプB」は流通業者であり、大量発注してくれるので、サービス・コストが安くすみ、その上高い価格を受け入れてくれる。「タイプC」は輸出業者で、高価格で買い取ってくれるのはいいが、サービスに大変なコストがかかる。「タイプD」は大手電子キキメーカーで、絶えず値下げ圧力をかけてくるうえ、アフターサービスに対する要求が激しく、特注品も多い。
 図表10は、先のデータをグラフ化したものである(ここでは、図表を加工しています)。これを見ると、59対15、88対25になっていることがわかる。
「タイプA」は売上に占める割合は15%だが、利益に占める割合は59%と高く、「タイプA」と「タイプB」を合わせると売上に占める比率は25%だが、利益に占める比率は88%に達する。これは、収益性の高い製品を買ってくれていることもあるが、サービス・コストが相対的に低いこともある。

 私が調査した計器メーカーは、この分析結果をもとに、「タイプA(直販)」とタイプB(流通業者)」の顧客を増やすキャンペーンに乗り出した。そのキャンペーンには当然コストがかかったが、それ以上の見返りがあった。「タイプC(輸出業者)」については、製品価格を一部引き上げる、サービス・コストを引き下げる方法を見つけた。電話での連絡や商談を増やしたのである。「タイプD(大手の電子機器メーカー)」については、個別に交渉した(9社がタイプDの売上の97%を占めていた)。技術顧問料を別途に請求した場合もあれば、製品の値上げ交渉に成功した場合もあった。交渉が決裂した3社は、ライバル企業に譲り渡す事にした。経営陣は厄介払いができて、ほっとしている(この3社を顧客にしたライバル企業は、採算が悪化するに違いない)。

 「財務データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」をテーマに取り組んでいます。
ドラッカー『創造する経営者』のまえがきに、最初の書名案が「事業戦略」だったと書いてありました。そして、P114で「製品や市場や流通チャネルなど業績をもたらす領域についての分析。利益や資源やリーダーシップについての分析、コストセンターやコストポイントについての分析など、事業そのものについての分析は、企業が「いかなる状況にあるか」を教える。」と事業の分析について述べています。
以前紹介した『人生を変える80対20の法則』を読んでいたら、P74「どの顧客がドル箱になっているか」に具体的な分析の方法が書いてありました。私が読んでいる『経営者の条件』は、「訳者あとがき」によると旧約は1964年、この本の著者リチャード・コッチの生まれが1950年。ドラッカーが「何をなすべきか」について書いている『経営者の条件』とつながりました。「財務データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」の基本にします。

『経営者に贈る5つの質問』P.F.ドラッカー 著 訳者 上田 惇生

ダイヤモンド社発行 2009年2月19日第1刷発行

(P37)
質問2「われわれの顧客は誰か?」へのいくつかの追加質問
われわれの顧客はだれとだれか?
・顧客リストを作成したか?非営利組織であるならば活動対象としての顧客のリストに加え、パートナーとしての顧客のリストを作成する。(ボランティア、有給スタッフ、会員、寄付者、委託先)
・われわれはそれぞれの顧客にいかなる価値を提供しているか?
・我々の強みと資源は、それらの顧客のニーズにマッチしているか?もしマッチしているとすれば、それはなぜか?マッチしていないとすればそれはなぜか?
われわれの顧客は変化したか?
・われわれの活動対象としての顧客はどのように変化してきたか?(性別、年齢層、家庭環境、薬物禍、災害)
・それらの変化は、われわれの組織にとって、どのような意味をもつか?
顧客を増やすか減らすか?
・現在の顧客のほかにどのような顧客がありうるか?それはなぜか?
・われわれには彼らの役に立つどのような能力があるか?
・顧客のうち、もはや相手にしないでよい顧客は誰か?それはなぜか――彼らのニーズが変化したからか、われわれの資源に限りがあるからか、他の組織のほうが優れた仕事をしているからか?顧客のニーズとわれわれのミッションあるいは能力がマッチしないからか?

 戦略策定にあたって、製品、市場、流通チャネル(販路)の分析をする必要があります。売上高の順に商品ジャンルを並べて売上管理の仕方を決めるABC分析という手法がありますが、最近、これを市場(顧客)分析に使い、A分類:上位2割の顧客、B分類:次の6割の顧客、C分類:下位2割の顧客に区分して、利益貢献分析をしました。やってみて、売上ではなく、粗利益(売上∸原価)をもとに計算したほうがより実態を把握できることがわかりました。
 ➀市場別粗利益金額-(製造変動費+販売変動費)=市場別限界利益
 ➁市場別限界利益-(製造人件費+販売人件費)-(製造固定費+販売固定費)=市場別営業利益
 市場別限界利益や市場別営業利益を計算する過程で、直接経費と間接経費を配布するとき、工夫が必要ですが、この計算をすることにより、とるべき戦略が見えてきます。ドラッカーの「われわれの顧客は誰か?」の追加質問に答えることが可能になります。

『最強の営業戦略』A.T.カーニーパートナー 栗谷 仁 著

東洋経済新報社発行 2008年12月17日第1刷発行 2018年2月16日第10刷発行

(P53)
Section2 営業で使えるセグメンテーション
※セグメンテーションの切り口
 市場規模や攻略ターゲットを決めるためには、同一のニーズを持った顧客単位、すなわち、顧客セグメントに分類することが重要であることは言うまでもない、営業戦略においてポイントとなるのは、営業が理解できるプロファイル・属性にセグメントを分類・整理することである。
 顧客のニーズは感性的な表現になりやすい。たとえば、「簡単操作セグメント」としてセグメントの内容を表現した場合、製品開発を目的とするマーケティング部門や開発部門ではこのセグメントが十分大きければ、開発スタートの判断ができるので、簡単操作セグメントという規定の仕方が有効である。しかし、営業部門が見たらどうだろうか。簡単操作セグメントを攻略せよと言われても、自分の担当顧客のどこを攻めたらよいのか、また、新規先の場合にはどこに行ったらよいのかもわからないだろう。営業活動に反映するためには、一歩進んでこの「簡単操作セグメント」を規定する軸として営業が認識できるプロファイル・属性を見つけることが必要となる。営業活動に反映できるセグメントの規定の仕方が営業戦略におけるセグメンテーションでは求められる。したがって、ある程度ニーズが共通で同様の攻略方法が可能なグループをセグメントとして、営業活動に反映するには、どのようなセグメンテーション軸を考えるべきかを検討することが大変重要である。
 一般的には、規模が異なるとニーズも異なりやすい。また、業種が異なれば明らかにニーズも異なる。最もシンプルなセグメンテーションの捉え方は規模×業種となる。シンプルではあるが、このようンな捉え方で十分営業活動に足るビジネスも多く、まずトライしてみることが重要であろう(図表2-12)。
→紙面の都合で図表は掲載しません。図表2-12では各セグメント評価のポイントとして、次の2点をあげています。
(自社シェア)
・定量化できない場合も多く、その場合、競争環境などから大まかに色分け
・チャネルや営業担当者のインタビューで推定することも多い
(利益)
・定量化できない場合も多く、その場合、競争環境などから大まかに色分け
・自社の利益率から推定する場合も多い

 この本は、最近青森にできた東北最大規模といわれるブックスモア(MOA)で買いました。ほとんどの企業は、わが社が扱う商品やサービスを提供できるのはどの顧客か?という視点で営業しているのではないでしょうか。商品やサービスではなく、顧客ニーズ優先で考えてみませんか。マーケティングでセグメントという言葉が使われます。簡単に表現すると集団やまとまりを区切った区分のこと。現在の顧客をセグメントしたうえで、「競争で勝てるセグメントか?」「わが社の経営に貢献しているセグメントか?」見直すことが必要です。withコロナの攻めはセグメントから始めましょう。

『人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ 著 仁平 和夫 訳

株式会社阪急コミニュケーションズ発行 1998年6月1日初版 2010年4月6日初版第33刷

(P13)
パレートの発見――必ず不均衡が生じる
 80対20の法則の基本原則が発見されたのは、約100年前の1987年で、それを発見したのがイタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートだった。「パレートの法則」「80対20の法則」「最小努力の法則」「不均衡の法則」など、この法則にはさまざまな名前が付けられているが、本書では「80対20の法則」と呼ぶことにする。パレートの発見以来、この法則は、経営者、コンピューター研究者、品質管理担当者など、責任ある地位につく数多くの人たちに陰ながら大きな影響を与えてきた。それでもまだ、この法則が十分にいかされているとは言えない。80対20の法則を知り、それを活用してきた人たちでさえ、この法則が持つパワーのほんの断片しか利用していない。
 それでは、パレートはいったい、どんなことを発見したのか。パレートは十九世紀のイギリスにおける所得と資産の分布を調査した。そして、所得と資産が一部の人たちに集中していることを発見した。これ自体は驚くほどのことではない。パレートはそれに加えて、二つの奇妙な事実に気がついたのだ。
 一つは、人口に占める比率と、所得・資産総額に占める比率との間に、一貫して驚異的な関係があるという事実である。(この場合、人口というのは、所得がある人たち、資産がある人たちという意味である)。わずか20%の人たちに資産総額の80%が集中していた場合、机上の計算では、10%の人たちに資産総額の65%が集中し、5%の人たちに資産総額の50%が集中していることになり、調べてみると、実際にそうなっていた。大事なのは、そのパーセンテージではなく、富の分布の不均衡に法則性があったという事である。
 パレートが発見したもう一つの事実は、時代を問わず、国を問わず、集めたデータを調べたかぎり、この不均衡のパターンが一貫して繰り返し現れるということであった。パレートはこの事実を知って興奮した。イギリスの昔のデータを調べてみても、ほかの国の現在のデータを調べてみても、まさに数学的な正確さで、同じパターンが繰り返し繰り返し認められたのである。
 これは偶然の一致にすぎないのか、それとも、経済や社会にとって、何か重要な意味を含んでいるのか。所得や資産以外にも、同じパターンが認められるのだろうか――。パレートは偉大な先駆者だった。所得と資産に注目した人は、パレート以前には一人もいなかったからだ(現在、この分布を調べるのはごく当たり前のことであり、そのデータをもとに、ビジネスでは経済の研究が大きく進んだ)。
 残念なことに、パレートは自分の発見の重要性と適用範囲の広さに気づいていながら、それをうまく説明できなかった。パレートの関心は、魅力はあるが、とりとめのない社会学理論のほうへ移っていき、エリートの役割が研究のテーマになった。そして、そのエリート支配論は、ムッソリーニのファシズムに利用されることになり、80対20の法則は長い眠りにつくことになる。数少ない経済学者、とくにアメリカの経済学者はその重要性に気がついていたが、分野が全く違う二人の開拓者の手によって、80対20の法則が息を吹き返したのは、第二次世界大戦が終わってからだった。

 紹介したのは本論が始まるまでの部分です(汗。 本のプロローグP4に「時間が足りないとよく言われるが、80対20の法則を適用してみればわかることだが、実際はその反対である。われわれには時間がたっぷりある。ただそれを無駄遣いしているだけなのだ。」と書いてありました。また、P71第4章あなたの戦略はなぜ間違っているかという項目には
 どこで利益を上げているか、
 どの顧客がドル箱になっているか、
 収益性を理解し、それを高める鍵は細分化にある
 「80対20分析」から単純に鉄論を出してはいけない
 未来へのガイドになる80対20の法則
 発想を切り替える
 上記についての説明があります。前回の『BCG戦略コンセプト』に、「儲かるセグメントと儲からないセグメントをきちんと把握し、それぞれの経済性に応じた合理的対応を考え、実行することである」という記載があることを説明しました。コロナで遅れた時間を80対20の法則で取り返す努力をします。

『BCG戦略コンセプト』水越 豊 著

ダイヤモンド社発行 2003年11月13日第1刷発行 2004年2月13日第5刷発行

(P56)
1……戦略的セグメンテーションとは何か
●……すべての顧客が利益になっているのではない
 日本において特定のセグメントに的を絞った商品開発・マーケティングが脚光を浴び始めたのはここ10年ほどのことである。それまで多くの企業は、「お客様は神様です」という言葉通り「すべての消費者を大事にしなければならない。だから、みんな一緒に平等に扱わなければならない」という理念にもとづいて経営していた。市場がどんどん成長している時代には、むしろこのやり方は理にかなっていた。なぜなら、どんな顧客でも大事に扱っておけば、そのうち大きな利益に結びつく可能性があったからである。仮に社会にでたばかりで1人暮らしのサラリーマンは、現時点では数か月に1度、電球を買うだけの少額の顧客だとしても、5年、10年と年を経るごとに給料も増え豊かな生活を送るようになれば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン……と、次々に商品を購入し、さらにはそれらを買い替える高額の顧客へと成長していく。つまり、このような将来がある程度予測できる時代には、すべての消費者を潜在顧客とみなし、電球1個のお客様を重視することが、ある意味では戦略的であった。
 しかし、右肩上がりの成長がもはや望めず、消費者ニーズが短期間で変化し、かつさまざまに細分化しつつある状況下では、潜在顧客に対して広くまんべんなくサービスすることはコストの増大を招くばかりだ。なぜなら、すべての顧客を平等に扱ったとしても、すべての顧客が平等に利益をもたらしてくれるわけではないからである。また、画一的な商品・サービスではどの顧客も不満という結果になることが多い。
 そこで求められるのが、従来のように消費者や市場を全体として十把一からげに扱い、全消費者に共通したマーケティングを展開するマス・アプローチではなく、市場や消費者をさまざまな軸で分類しそれぞれに異なったマーケティングをしていこうというセグメンテーションのアプローチである。戦略的セグメンテーションは、顧客によってニーズや商品・サービスの価値、経済が異なるという認識を前提とする。平たく言えば、儲かるセグメントと儲からないセグメントをきちんと把握し、それぞれの経済性に応じた合理的対応を考え、実行することである。

 この本は10年ぐらい前に盛岡のジュンク堂で買いました(その時弘前市に店舗はありません)。BSCと戦略参謀にのめりこむきっかけになった本です(笑。
セグメンテーションとは市場を細かく分け、ニーズごとにグループ化すること。販売管理のシステムで様々な分析ができるのですが、ほとんどの会社が請求管理だけに使っています。
 最近、withコロナという言葉をよく聞きますが、withコロナには「守り」と「攻め」があります。「攻め」はこの本にあるように、儲かるセグメントと儲からないセグメントをきちんと把握し、それぞれの経済性に応じた合理的な対応(→売上金額ではなく、限界利益と固定費を差し引いて貢献している市場なのか)を考え、実行することが必要です。これから、具体的なやり方を提案します。

『企業参謀ノート(入門編)』大前 研一 著

株式会社プレジデント社発行 2012年8月5日第1刷発行

(P115)
企業の生き残り!その“天国と地獄”を分ける大事な要素
自社商品のどれを切り捨て、どれを伸ばすか?日々の業務にも生かせる製品ポートフォリオ管理とは?
 1990年代にボストン・コンサルティング・グループが提唱した製品ポートフォリオ管理—いわゆるPPM法(Product Portfolio Management)—は、今日では、世界中の企業で事業戦略立案にために取り入れられている。
 PPM法の2眼目のP、ポートフォリオ(Portfolio)とは、ルーズリーフなどをまとめて持ち歩く平らなケースというのが原義。これから転じて、株式債権類に一覧表や、閣僚の顔ぶれ、芸術家の代表作品等という意味もある。
 だが、経営の現場でポートフォリオと言えば「製品系列のポートフォリオ」のことを示し、「ある会社(又は事業部)が持っている製品系列一覧表」と考えればよい。そして「製品のポートフォリオ管理」というのは要するに、自社製品のラインナップのどれを切り捨て、どれを伸ばすか。あるいはどの商品に金をかけ、どの商品をコストダウンすべきかという企業戦略のための方法論と思って間違いない。
 初期のPPM法では次ページに示したように4つの象限(ゾーン)を使った事業マトリックスによって、市場成長とシェアから商品系列それぞれの戦略を導きだそうというものだった

 新型コロナウィルスの影響で、事業継続を断念するという報道が多くなってきました。この本は、同じ著者の『企業参謀』という本と一緒に買いました。ドラッカーの5つの質問に、我々の事業は何か?我々の顧客は誰か?という問いがあります。「企業の生き残り!その“天国と地獄”を分ける大事な要素」という言葉の答えは、事業を再定義し目標設定した上で、これまで扱ってきた商品(製品)と市場を見直すことです。売上も大事ですが、商品(製品)と市場区分ごとの粗利だけではなく、変動費と固定費を差し引いた営業利益を確認し、どの商品(市場)・どの市場がわが社に貢献しているのか!見極めたうえで、売上重視から利益重視の戦略に変更することが必要。この本を読み確認できました。

『コトラーのマーケティング講義』フィリップ・コトラー著 監訳者 木村 達也 訳者 有賀裕子

ダイヤモンド社発行 2004年10月第1刷発行

(P214)
病院に行くと、決まった手順に沿って検査をして、健康状態に問題がないかどうか検査してくれますよね。では、企業が自社のマーケティングについて健全性を知りたい場合にはどうすれば良いのでしょうか?

かつてトム・ピーターズは、店舗やオフィスを訪れて15分もそこに居れば、健全性を判断できる。と述べました。私自身は、「マーケティングを成功させるための十戒」を守っているかどうかで、企業を評価しています。この十戒については、詳しくはTen Deadly Sins of Marketing Signs and Solutions (John Wiley & Sons)を参照してください

1、市場セグメンテーションを行って最も望ましいセグメントを選び、核セグメントに強固な地位を得る。
2、顧客のニーズ、考え方、嗜好、行動などを分析したうえで、顧客に奉仕して満足をもたらすように、さまざまな利害関係者に働きかける。
3、どの企業が主な競争相手であるかを見極め、その強みと弱みを知る。
4、社員、仕入先、流通業者など、主な利害関係者を事業パートナーとみなして、厚遇する。
5、事業機会に目を留め、評価を行い、最も魅力的な機械を選び出すための仕組みを設ける。
6、マーケティング・プランニングを管理して、長期、短期の両面で的確なプラン作りができるようにする。
7、製品ミックスやサービス・ミックスの管理を万全にする。
8、費用対効果の面で最も優れたコミニュケーション・ツールやプロモーション・ツールを用いて、強大なブランドを築き上げる。
9、マーケティングに秀でた企業としての地位を築き、部門間のチーム精神を育む。
10、絶えず新しいテクノロジーを取り入れて、市場での競争優位を保つ。

 最近、販売管理システムと会計データを組み合わせることにより「どうしたら、もっと顧客に貢献し、儲かる仕組みを支援することができるか!」という事に興味を持ち取り組んでいます。そして、マーケティングの用語、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという言葉を思い出し、以前、買ってあるフィリップ・コトラーの本を読みました。戸惑っているのは、市場区分の仕方です。この本を読んで、8、費用対効果の面で最も優れたコミニュケーション・ツールやプロモーション・ツールを用いて、強大な無ブランドを築き上げる。9、マーケティングに秀でた企業としての地位を築き、部門間のチーム精神を育む。という項が参考になりました。試行錯誤を続けてみます。

シンプルに生きる『老子』 監修 愛知教育大学名誉教授・皇学館大学名誉教授 野村 茂夫

リベラル社発行 2016年10月27日初版 2018年6月14日再版

(P34)人に力を発揮させる社会は活性化する
 天下に忌諱(きき)多くして、民弥(いよ)いよ貧(ひん)に、民に利器(りき)多くして国家ますます昏(くら)し(第57章)

 生まれながらにして、人は自由です。自由があるということは、他のものに邪魔をされず、自分の気持ちのまま行動することができるということ。そして、人は自由であれば、創造することを本能的に好み、誰に言われるまでもなく工夫をし、世の中に小さなプラスを生み出そうとします。実際に、そのようにしてこの世の中を発達させてきた歴史があるのです。
 それを「あれも禁止、これも禁止」と禁令ばかり出していれば、人の創造性は失われ、意欲も徐々になくなっていきます。人に本来備わっている創造性を削ぐことなく、能力を存分に発揮させることが、社会に活力を生むのです。

 新型コロナウイルスという未曽有の体験。「緊急事態宣言を25日全面解除の諮問」という、久々の明るい話題が聞かれます。「あれも禁止、これも禁止」という状態が続き、新しい何かを考えだそうとする「創造性」を失ってしまった人が多いのではないでしょうか。旺盛な意欲があったから事業を始めたはずです。今一番必要なのは創業当時のことを思い起こし、これから始めるという強い気持ちを持つことではないでしょうか。老子(ろうし)は、中国春秋時代の哲学者と言われていますが、確かなことはわかりません。私は、難しい書物を読む知識がないのでリベラル社のシリーズを机のそばに置いています。
コロナの後の取組みとして、販売管理データに着目しました。これまで「どこに何を売ってきたのか」そしてこれから「どこに何を売るのか」会計データと販売管理データを分析し、「現状」から「あるべき姿」を考えるべき「時」です。

『向上心』スマイルズの世界的名著 すじ金入りの自分論 S.スマイルズ著 竹内 均訳

三笠書房発行 2011年6月10日改訂版第1刷発行

(P31)◆アレクサンダー大王がいちばん大事にした“財産”
 いつも明るい心を持つこと、将来の希望を胸に秘めることは、耐え忍ぶことでもある。これは人生に幸せと成功をもたらす重要な鍵の一つである。
 哲学者のターレスが、「他には何にもなくても、希望だけは誰もが持っている」と言ったように、確かに希望はごくあたりまえのものではある。しかしまた、希望は貧しい者を救う強い力であり、「貧しい者のパン」と呼ばれてきた。
 未来への希望は偉大な行為を支え、勇気づけるものでもある。アレクサンダー大王がマケドニアの王位を継いだ時、彼は父が遺してくれた土地の大部分を友人たちに与えてしまった。
 「王は何を手もとに残されたのですか」とたずねられると、アレクサンダーは、「この地でいちばん大きな、希望という名の財産だ!」と答えたという。形見として遺された財産がどれほど莫大であっても、希望が与えてくれる財産に比べればはるかに見劣りがする。将来への希望があればこそ、人はあらゆる努力と試練に立ち向かっていけるからである。
 世界を動かし常に躍動させているのは、精神力だと言うことができるだろう。そして、あらゆる力を締めくくるのは、この「希望という偉大なるもの」なのである。「希望がなければ、未来はどこにあるというのだ?地獄にしかない。現在はどこにあるかと問うのは愚かしいことだ。われわれはみなそれをよく知っているのだから、過去はどうだ。くじかれた希望だ。ゆえに人間社会で必要なのは、どこにいても希望、希望、希望なのである」
 こうバイロンは叫んでいる。

 今日の1ページを2月中旬から休んでしまいました。全く本をよんでいなかったわけではありません(汗 未来会計セミナー開催の前に「壁」が現れ、そしてコロナ…。あっという間に2020年も5月中旬になってしまいました。コロナでステイホームが続き、課題にしていたことを解決する糸口がつかめました。書店でこの本と出会い、今の自分に必要なのは「希望」という言葉と気づきました。「希望(あることの実現を望み願うこと)」がなければ目標を持つことができません。目標が無ければ、目的を持ち、能動的に行動することができません。一日でも早く、コロナの終息を願い、希望を持ち続けます。