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「仕事はカネじゃない!」ケビン&ジャキー・フライバーグ(2)

「仕事はカネじゃない!」ケビン&ジャキー・フライバーグ(著)

「仕事はカネじゃない!」ケビン&ジャキー・フライバーグ(経営戦略を共有する)
 経営者としての自覚を育てるには、経営者と従業員の間に誠意と信頼がなければならない。経営者であれば重大な問題に直面した時、自信をもって対処することを問われる。そんな場合、経営者の立場を自覚する者は常識を働かせて適切な判断を下す。もちろん全社員が経営戦略を熟知していれば、適切な判断を下しやすくなるだろう。経営戦略を従業員に知らせるのは、まさに適切な判断を下してもらうためなのだ。(P.124)

日常の行動基準として、全社員は無理としても、幹部が経営戦略を理解していなければ、戦略実行の組織は実現しない。サウスウエスト航空のような大きな会社と違い、小規模企業はトップダウンで経営戦略を考え、それを実行するために、幹部や社員と合意形成を図る必要がある。トップダウンで決めた戦略をボトムアップに変えて実行する経営のやり方が、小規模企業の経営に適しているのではないだろうか。

「仕事はカネじゃない!」ケビン&ジャキー・フライバーグ

「仕事はカネじゃない!」ケビン&ジャキー・フライバーグ(著)

「仕事はカネじゃない!」ケビン&ジャキー・フライバーグ(本物のリーダーは才能を開放する)
経営者としての自覚とは、何事も恐れることなく率先して仕事に取り組む精神である。危ないことを避けたがる従業員は、責任や能力を問われる仕事に取り組もうとはしないだろう。自己保身しか考えられないからだ。ハリー・クオードラッチは従業員が計絵者の立場で考えざるを得ないようにして、仕事に対する責任感を育てた。その見事な実例を紹介しよう・・・(P.116)

この本は、「サウスウエスト航空と破天荒な仲間たち!」の第2シリーズとして書かれたものです。9/11の事件以来、アメリカの主要な航空会社のうち四半期ごとに利益を上げているのはサウスウエスト航空だけです。それを支えているのは、「ガッツのあるリーダー」と呼ぶ人物。「ガッツのあるリーダー」とは、慣習という聖域を打ち壊すことをためらわない情熱的な人物と説明されています。これから、新たな取り組みを始める我社にとってまさに必要なことなので、再読をはじめました。

戦略実行ギャップを埋める

2007年度 バランスト・スコアカード・アジア太平洋サミット「戦略実行の革新」

2007年度 バランスト・スコアカード・アジア太平洋サミット「戦略実行の革新」最近の調査によれば、戦略実行が、今日、企業のトップの最大の関心事となっています。実際、戦略実行を正式に導入している企業は、未導入の企業に比べ、大変良好な業績を達成しています。それでは、戦略実行の中核的能力は、どのように開発、維持すれば良いのでしょうか。Kaplan博士は、そのための必要なプロセスやリソースを通して、戦略を実行に結びつける統合モデルをご紹介します。

キャプラン教授が2005年12月に「戦略マップ」という本を書いた後の論文です。バランス・スコアカードは主に「部門の業績改善」として使われてきたのです。それにもかかわらず、私は最初から「戦略実行のツール」と考え学んできました。そこに認識のずれがあったのです。バランス・スコアカードに関する本に、「バランス・スコアカードは部分最適から全体最適を目指す」という表現が使われています。部分とは部門であり、全体とは全社を意味していたのです。

上記は、キャプラン教授が「アジア太平洋サミット」で発表した内容をHBRのレポート表現している文書です。

→戦略実行の中核能力は、どのように開発、維持すればよいのでしょか?
→そのために必要なプロセスやリソースを通じて、戦略を実行に結びつける統合モデルを紹介します。

という部分に注目しました。
サミットに参加したときのメモを見ると、キャプラン教授は、「社長(CEO)が関心を持って推進リーダーになることが必要」と述べ、

・そこで働いている従業員にが、当該部門の戦略マップを説明できるかと質問し
→理解度を確かめる
・そして、「今やっている作業はこの戦略マップのどの戦略目標か?」
→戦略実行がプロセスやリソースとなっているかを確認

太書きの部分は、メモを確認した上で書きました。サミット参加の時は、理解できなかったのですが、改めて読み直してみると統合モデルの考え方を示しています。

これまでBSCに取り組んできて、戦略実行で最も大事な「肝」は合意形成(意見の一致)
自主性(何をすべきか、やるべきことは決まっていて、それを実行に移そうという判断を自分でする態度)
上記の2点です。
私の経験では「統合モデル」にできません。「統合モデル」があったとしても、それを検証した上でPDCAサイクルが回っていなければ戦略実行は実現できないと思います。PDCAサイクルと戦略のストレッチが経営力強化の「鍵」と改めて感じました。

「戦略マップ」ロバート・S・キャプラン/デビット・P・ノートン(4)

(監訳:桜井通晴、伊藤和憲、長谷川恵一)2005年12月14日発行

418RYK5G3CL._SL500_AA300_戦略に関する文献は、非常に多岐にわたる。戦略に関するフレームワークは学者及び実務家ごとにかなり異なり、戦略の定義についてすら同意が得られていない。戦略マップおよびBSCは戦略へどのようなアプローチに関しても作成できるが、われわれのアプローチは戦略論の分野における創始者の1人であり著名なリーダーの1人であるマイケル・ポーターによって示された普遍的なフレームワークに基づいている。

戦略(P67)

私は、ベストな結果(財務の視点)を出すために、どのようなプロセス(顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点)を踏むべきか!その答えをバランス・スコアカードに求めています。
楠木建の著書「ストーリーとしての競争戦略」に“キラーパス”という言葉が出てきます。キラーパスをKotobankuで調べると、「サッカーで、スルーパスの一種で、グラウンダー(地面を転がるボール)の直線的なパス。強く早いボールパスで決定的なシーンを演出し、敵陣を切り裂くことからこういわれる」と説明がありました。

私がバランス・スコアカードに求めるのは、「ベストな結果を出すためにどのようなプロセスを踏むべきか、それを戦略としてどのように展開すればよいか」ということです。
私にとって“戦略テーマ”は、キラーパスであり、そのストーリー(目的と手段→因果関係)を描くのが戦略マップという考えです。アイデア→戦略→ストーリーという流れが「肝」なのですが、キャプランの「戦略マップ」は、戦略の本質はポーターのフレームワークで考えよう、と言っているように思えます。