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「あたりまえだけどなかなかつくれない-チームのルール」小倉 広 著

明日香出版社発行 008年11月5日初版発行 2016年3月30日第30刷発行

(P52)ビジョンをみんなで描こう
 「俺たちのチームが目指す姿はここだ!競合X社Oなぎ倒してシェア50%を目指すぞ!」リーダーが勢いよく宣言しました。しかし、メンバーの反応は芳しくありません。イエスでもノーでもなくの無反応。
 「お前たち、本当にやる気があるのか?」とチームリーダー。またもや無反応なメンバーたち。
 さて、このチーム、何が問題なのでしょうか?
 無気力なメンバーたちに責を求めるのは簡単なこと。しかしここは違う観点が大切です。つまりビジョンはだれが決めるものなのか、という観点で見てみると、一つの改善策が見つかるのです。
 ビジョンはリーダー個人のものか?と問われればほとんどの人はノーと答えるでしょう。ビジョンはチーム全員のもの。これに異を唱える人はいないはずです。
 しかし不思議なことに、ビジョンはリーダーがつくるものか?と問われればイエスと答える人が多い。つまりビジョンはチーム全員のものであると知っていながらも、つくるのはリーダーの仕事と考えている人が多いのです。
 しかし、これではうまくいかない。みんなのビジョンであるならば、みんなで一緒に作るのが一番。「参加なくして決意なし」の言葉の通り、みんなでビジョンづくりに参加し、みんなでビジョンを実現するのがベストなのです。
 「参加なくして決意なし」。私はこの言葉を逆手にとってこんな言葉を部下に伝えています。「参加したからには決意しろよ!決意できないならばそんなビジョン捨ててしまえ!」と。
 未熟なメンバーたちの多くは、決定されたビジョンに対して不平不満を漏らします。しかも、「では自分で作ってみろ」と言われれば意見が名語りするもの。そうではなく、ビジョンづくりに参加させるからにはその言葉に対して責任を持たせるのは当然のこと。きちんと大人扱いして彼らを尊重し、それと同じだけの責任を求めていく。
 コインの表裏である権利と責任の両方を求めていくことでチームの決意が生まれるのです。

 先週に続いて同じ本です。これまで、ビジョンを示しそれを実現するのが経営計画と考えてきました。最近、若い世代から「われわれの意見も聞いて欲しい」という要望があり、彼らの提案で彼らが作成したアンケートで意見をまとめさせました。結果は、あーして欲しい、こーして欲しいという内容でした。同調して古い世代からは不平不満……「改善」や「革新」につながる提案は全くありません。
 会社は学級委員会ではありません。理念を達成するためのビジョンを決め、ビジョンを実現するためにある組織です。古い世代の不平不満は論外ですが、若い世代とビジョンを共有するためにはビジョンづくりに参加させる必要があることがわかりました。