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「無印良品のPDCA」良品計画前会長 松井 忠三 著

角川書店発行 2013年8月30日3版発行

(P003)
はじめに
 「社内に仕組がない」「組織に実行力がない」
 年間100回を超す全国の講演先で、経営者や経営幹部、管理職の皆さんから寄せられる悩みの多くは、つきつめるとこの2つに集約されます。
 たとえば、会社や店舗に仕組みやマニュアルがなく、それぞれがばらばらのやり方、レベルで仕事をしているような現況はどこでも決して珍しくありません。そこに異動で新しい店長、支店長、マネジメント層が着任したらどうなるか?当然、それまでのやり方はガラット変えられて新しい責任者のやり方で一からのスタートを強いられます。そのあおりを食うのはいつでも現場の部下やスタッフたち……。こんな状況では、組織の成長など望むべくもないでしょう。経営幹部や管理職の方々から現場にいたるまで、それに気づいているからこそ冒頭のような「悩み」が生まれるのですが、かといってそれを打破する実行力もない。今、多くの組織はこんな状況に陥っているように見えます。
 ならば、まずは手っ取り早く他社の優れた仕組みやマニュアルに倣って同様の仕組みを社内で展開すればよいのではないか。そう思うかもしれません。実際に、「いくら払ってもいいから無印良品のマニュアルをもらってこいと社長に言われて来ました」と言われて驚いたこともあります。マニュアルに対する理解が根本から違うのです。他社の取り組みを自社仕様につくり変え。“血の流れるレベル”までにものにできる会社は100社に2社もないのです。なぜなら、「仕組み」にしてもマニュアルにしても、一度つくれば未来永劫効果を発揮するようなものではなく、絶えず手をかけて、ようやく根付き、現場で機能するものだからです。無印良品のマニュアル「MUJIGRAM(ムジグラム)」も同じで、いまも社員の自発性に基づいて日々改良を続け、現場で「使える」状態にアップデートされ続けています。この仕組みを組織全体でやりきるには、実行力とそれを支える風土「社員の意識」が必要なのです。
 残念ながら、それらを促進するための妙薬などありません。ただひたすら当たり前のことを当たり前に続けたことが結果に結びついたにすぎません。

 「PDCAの本」何冊も読んでいますが、この本は「アナログ手帳とPDCAの切れない関係」という序章から始まっています。著者が、Check(評価)に前年の手帳を使い、100%実行されるまで手帳で追いかけ、PDCAをともなったスケジュール管理を実行してきた「やり方」が書いてあります。「計画5%、実行95%の組織が強い、計画は、あくまでも実行するための実行計画であるべきだ」。良品計画の本を集中して読み、頭が無印になりそうです…(笑。戦略ナビ活用の意義がまた一つわかりました。ツールは定石!それを使い続けて勝ち続ける仕組みをつくること!