講談社現代新書2018年5月20日第1刷発行
(P193)「働けるうちは働け」
序「戦略的に縮む」ほど、ポジティブな考えはない
こうしたことを言うと、「ここまで死ぬほど働いてきたのに、死ぬまで働けというのか!」「60歳を超すと体力も落ちる。病気がちになっても働かなければならないのか!」といった極端な意見が必ず登場する。だが、それを強制しようという話ではない。60歳以降の選択肢をできるだけ広げられるように、若いうちから自分の老後をしっかりと見据えたプランを描くことが大切である。
政府内にも動きが出てきた。国家公務員の定年を現行の60歳から段階的に65歳まで引き上げようというのだ。国家公務員の定年延長となれば、地方公務員や民間企業でも追随の流れが広がろう。官民を問わず、60代の働き方の選択肢を増やすことは時代の要請である。国家公務員の定年延長には、民間への普及に向けた起爆剤としての期待もかかる。
私は、前著「未来の年表」で、74歳までを“若者”と位置づける「高齢者の削減」を逓減したが、政府もようやく「高齢者の削減」に動き始めたということだろう。
とは言え、本人がいくらやる気になろうが、政府が就労を促すために年金受給年齢の選択肢を広げようが、どれだけで高齢者の就労が進むわけではない。最も重要なのは、雇う側の意識改革だ。企業経営者が理解を示して、高齢者が働きやすい取組みを展開していかなければ、高齢者の雇用は広がっていかないだろう。
すでに、高齢者の積極的な雇用にのりだしている企業もある。若手が足りない分、定年延長や再雇用で補う流れが強まるだろう。ただ、雇用後にも課題はある。多くの企業では60歳を超えるかたわら賃金水準を下げる仕組みを取り入れているが、必要以上に下げたのでは労働意欲は低下する。
この本を読んで、今日の1ページで紹介した部分を小規模企業の経営者の立場で考えました。「大廃業時代、小規模事業者経営者の年齢が高齢化し、後継者不在で50%の企業が黒字で廃業している」ということが社会問題になっています。高齢者を雇用する環境を整えることも大事ですが、この本では74歳まで若者です。ポジティブ(積極的)な考えを持ち、小規模企業の経営者にもう少し頑張ってもらい、若い起業家にバトンタッチするという方法もあるのではないでしょうか。小規模企業経営者の平均年齢は70歳と言われていますが、今と昔では精神的にも肉体的にも10歳違うと思います。自分自身も考えを変え、お客様にも話してみます(汗。