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『「ホンネ」を引き出す質問力』堀公俊 著

PHP研究所 2009年9月29日第1版第一刷

『「ホンネ」を引き出す質問力』堀公俊(P111 寄り添いつつ自分のペースに引きこむ)
 彼は(本人が意識しているかどうかは定かではありませんが)主に三つのテクニックを使っています。いずれも自己開示の流れをコントロールする技法です。
 一つは、自己開示のコントロールです。相手を巧妙に自分のペースに引き込み勇み足を誘っているのです。
 それには2通りのやり方があります。一つは、プッシュと呼ばれる、追い込んだり、競争させたり、挑発させる働きかけです。相手にプレッシャーをかけて、その反発力を利用しようとする作戦です。コロンボ特有の「じらし」がプッシュです。リーダーズ・インテグレーションの前半戦も、ファシリテーターがあおったり、けしかけたりします。
 もう一つはプルと呼ばれる、自然の動きに任せ、引き出し、誘発する、湧いてくる働きがけです。相手が主体的に動くのをじっと待つ作戦で、相手を饒舌にさせて、ペラペラしゃべらせるのがプルです。リーダーズ・インテグレーションの後半戦はこちらになります。
 このプッシュとプルをうまく使い分けながら、相手のペースに合わせつつ、自分のペースにうまく引き込んでいく。これをペース&リードと呼びます。プッシュとプルをどう組み合わせるかは、テーマや相手によって一概にいえませんが、原則は柔道と同じです。押さば引け、引かば押せと覚えておきましょう。

 「彼」とは、あの刑事コロンボです。本の一部なので伝わりにくいと思ったのですが、なぜ会議で本音が引き出せないのか…という文言にひかれて読みました。堀 公俊氏は組織コンサルタント、日本ファシリテーション協会前会長です。事例を使い、わかりやすく書いてあるのでお薦めです。