ダイヤモンド社刊 2016年11月25日 第1刷発行
私が今回、生産性について本を書こうと思ったのは、日本における(工場以外での)生産性に関する意識の低さが、世界と戦う日本企業にとって、大きな足かせになっていると感じたからです。
「競争に勝つためには、より長く働く必要がある」という労働投入型の発想では、人も組織も疲弊してしまうし、新しい技術や仕組みを積極的に取り入れ、生産性をどんどん上げていこうとする生産性重視型の企業に勝てるはずがありません。
また、最近よく耳にする「働き方改革」という言葉にも危うさを感じます。経済成長には女性や高齢者、外国人など新たな働き手が不可欠と考えるのもまた、労働投入型の発想だからです。長時間労働の是正に関しても、「低い生産性の仕事を長時間、社員にかしている企業」と「極めて高い生産性で朝から晩まで働き、圧倒的なスピードで世界を席巻してゆく企業の違いが理解されているようには見えません。
とはいえ、ここで一つ明確にしておきたいことがあります。それは、日本と米国の組織を比べた時、リーダーシップと生産性以外には、その人の人材力や組織力を左右する決定的な要因は何もないということです。勤勉や起立性の高さはもちろん、分析力や論理思考力、そして技術力から想像力まで、日本のビジネスパーソンの資質は極めてハイレベルです。あとは、リーダーシップと生産性の重要性をしっかりと理解し、紳士にその向上に取り組めば、スタートアップ企業であれ大企業であれ、日本企業は今よりはるかに高い地点に到達できるはずです。(P.6 はじめに)
「生産性とリーダーシップ」直面している課題です。最近、当社に前職が会計事務所とは全く関係のない業界から入った社員がいます。遠方のお客様でも現地まで行き監査してくるという、ビジネスモデルを変えるためSkypeでのやり取りを試行しているのですが、その社員は抵抗なく取り組んでくれます。
ベテランの社員に、これから「働き方を変えよう」現地まで毎月行かなくても長い付き合いでコミュニケーションがとれているのだから、クラウドで入力してもらい監査はSkypeでやろう!と言っても、笑ってそうですねというだけで実行にたどり着きません。この本を読み、危機感をもって取り組もうと決意を新たにしました。