日経BP社刊 2012年10月9日第1刷発行
日本にはチームがないという見方に最初に賛成してくれたのは、日本に住む外国人だった。「まさにそうだ」と。
私がいうチームとは、オリンピックのサッカーなどと同じでもあり、違ってもいる。それは、異質な人間がある目標を実現するために熱意を持って助け合う組織のことだ。ここが見落とされている点なのだが、チームは単なる人の集まりであるグループとは違う。
詳しい説明は後にするが、チームはイノベーションとアントレプレナーシップの土壌となる。失敗を恐れないでリスクを引き受ける精神は、チームから生まれる。チームの本質はお互いに助け合う。ヘルプしあう関係だ。今の日本には、ヘルプするという精神が欠けているように見える。個人が、あるいは組織が事故の利益を追求することばかりが目立ち、個人と個人、組織と組織が助け合って共通目的のために汗を流すという基盤が乏しい。そして、社会全体にチームという発想が希薄だ。
日本は個人としては優秀だが、組織全体となると途端に馬鹿になると師匠の黒田清さん(元日本学術会議会長、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員長)もいっている。同感だ。(チームをつくり、まずヘルプから P.6)
この本は、何年だったか忘れてしまったのですが、日本M&A国際会議で著者の講演を聞いたときに買いました。著者は1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカルフォルニア大学ハーバード校に合格。同大学ロサンゼルス校医学部を卒業。テレビ会議システムで失敗した後、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年会社をマイクロソフトに売却日本に拠点を移しています。
講演の後、並んで名刺交換をお願いしたのですが、私のところで名刺が切れ、もらえませんでした。グループとチームの違いが気になり、書棚をみたら「個人主義化が進む日本、チームで鍛えるアメリカ」という帯が気になり、アンダーラインの部分だけを拾い読みしました。わかりやすいので、再読します。読んでわかったのですが、アンダーラインは簡単に引くべきではないと…いい本は、必ず再読する機会があります。以前読んだ時と、その後では「ここが大事」というのが違うということに気づきました。この本を読むと、本の紹介にあるように「世界レベルの日系人起業家が示す問題解決の極意」がわかります。