講談社現代新書(2016年5月刊)
村岡は07から08ごろ、森に繰り返し、厳しい提言を続けていた
「日本の銀行マンはどんどんバカになっていますよ。バブル崩壊後、債券回収に忙しくなり、財務情報に基づく評点だけで融資を決めるようになってしまいました。それを助長したのは金融庁検査です。不良債権処理の危機対応字から本質的には何も見直さず、金融検査マニュアルに基づいて検査をしてきました。銀行は検査マニュアルにもとづいて、融資を判断しているに過ぎないんですよ」
村岡は進むべき方向性を示した。
「金融と事業はいわば車の両輪です。両輪を回すことで自律的に経済、産業は好循環になります。産業あってこその金融です。再編はその一つの手段にすぎません」
村岡の考え方はこうだ。バランスシート、つまり資産、担保で融資を判断しているが、それは過去の財務諸表の話に過ぎない。多くの地域金融機関で重視されていない、今後の取引先企業の成長可能性を分析すること、それこそが事業性評価だと定義した。
(第1章 金融庁の大転換 P.44 事業性評価)
上記に、事業性評価の定義が記されている。P51には、事業性評価の浸透度は顧客本位の営業すなわちリレバンをどこまで徹底できたかによって効果を発揮する・・と記載されている。事業性評価を金融機関が加味して判断する、というのは、中小企業の経営者にとって、一歩前進しているかのように感じますが、果たしてそうでしょうか。
本には、事業性評価の基準として3つのKPI(重要業績評価指標)を掲げています
①金融機関が主力とする企業の経営改善や成長力の強化
②持続可能性に懸念がある企業の抜本的事業再生や早期転換廃業等円滑な新陳代謝の促進
③担保・保証依存の融資姿勢からの転換
そして、その判断の基準(ベンチマーク)として45の大工道具を用意しているとあります。
先日、ある会計ソフトの会社から次のような説明がありました。「顧問先の了解があれば、会計事務所から金融機関に財務情報を開示してもらい、金融機関はそれをもとに事業性評価をするサービスを始めました・・・」
これでいいのでしょうか。金融庁が事業性評価を金融機関に求めるようになったのは、イノベーションと考えられますが、何度も読み返してみると、金融機関が生き残るための選択肢を変えただけではないでしょうか。それに会計ソフト会社が同調し、関与先の了解を前提に、金融機関へ情報提供する仕組みへと移行する動きが始まっています。
私は、顧問先の了解があっても、金融機関への情報提供には消極的に対応します。
現状の財務に課題はあっても。事業の継続と雇用の維持を考え、
独自の戦略に基づく経営計画を作成し、能動的にリスクに挑む企業
ビジョンを実現するための経営計画策定と実行を支援します。