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『数値化の鬼』安藤 広大 著

ダイヤモンド社発行 2022年3月1日第1刷発行 2022年4月15日第3冊発行

変えられるもの」と「変えられないもの」を見分ける
「仕事のどこを変えればいいのか」P163

 これを考えるのが、いわば仕事の醍醐味です。
 思いつくままにテコ入れするのではなく、1つにフォーカスし、問題を時解決する。それは個人でも組織でも同じです。そのためには、目のまえでおこっていることの裏側にある「数字」を見つけなければなりません。結果を裏付ける数字があるはずです。

|どこに「X」が隠れているのか

 この見極めに必要なのが。「変数」と言う考えです。
 数学が得意だった人は。「y=ax+b」という一次方程式を思い浮かべてもらうと、「x」が変数であり、それより「y」の値が変わるということがイメージできるでしょう。
 「a」と「b」は定数であり、与えられた数字なので、ここでは変えられません。数字が苦手でも、この本質は理解しておかないといけないので、さらに例を挙げましょう。

たとえば、大事なプレゼンに臨むとします。
資料作成の時間を1時間から1時間に増やし、レイアウトにこだわりぬいたとします。しかし、プレゼンの結果があまり変わらなかったらどうでしょう。ここで2時間の努力を3時間や4時間に増やし、さらに資料作成に時間をかけるのは、間違った努力の仕方です。それは「プレゼン資料の「完成度」が「変数」ではない」からです。
今度は、プレゼンの様子を動画で撮影し、自分で見返してみるとします。すると資料をめくったときにすぐに要点を伝えることなく、ダラダラと前置きの話をしていることに気づきました。そこで、「次の資料に移ったら、最初の10秒で結論を述べる」という方法を試したとします。
すると、プレゼンを聞いている人の反応が変わり、プレゼンの成功する「回数」が以前より増えました。数値化された成果が出たのです。こうして「プレゼンでの「伝え方」が「変数」たったことに気づくことができます。

|「変数」こそが仕事の成果につながる

 このように結果を出すためには、
 「変数が何か」
 「どこに隠れているのか」
 ということを、試行錯誤して見つけ出さないといけません。 
 ここが仕事の成果に直結します。

 まずはプレーヤーとして、自分の仕事の変数を見つけられること、次にマネージャーや経営者として、マイナスにつながる変数を減らすこと。いくら努力しても変えられない部分、つあり「定数」は、さっさと諦めることです。「定数の重要性について、それぞれの方法を見ていきましょう。

 著者は、株式会社識学の代表取締役社長、創業からわずか3年11か月でマザーズ上場を果たしています。P80に識学流PDCAの考え方が説明してあり、PDCAのPは計画、これに時間をかけるのはムダと明言しています。計画は、実際に行動が伴ってはじめて意味を持つ。行動を「なんとなくを許さない」ところまで「数値化」すること、行動量を増やすPDCAの「D」を増やすことが重要。行動を判断する基準になるのがKPIです(「KPI(key performance indicator):目標を達成すための数値化された指標」という概念があります)。
 これまで、KPIをテーマに本を読み実践してきましたが「答」が出るところまで到達できません。この本を読み、KPIを決定する要素には「変数」がある。結果を出すために「やるべきこと」「やらなくてもいいこと」それが「変数」と理解でき、これまで超えることができなかった「壁」に挑む機会をもらいました。わかりやすいのでお薦めします。