株式会社シナプス発行 2019年4月30日 第1版発行 P13~14
上の図2-1は、基本的なマーケティング戦略策定のプロセス全体を示しています。ここで重要なのはそのプロセスが、大きく分けて三つのステップから成り立っていることです。
最初のステップは、自社のビジネスをとりまく環境を的確に把握し、分析する「環境分析」、次のステップは、攻略すべきターゲット顧客と自社のポジショニングを決定する「基本戦略構築」、そして最後のステップは、基本戦略を具現化するための「具体的施策設計」です。
このようにマーケティング戦略構築の流れはとてもシンプルで、わかりやすいものです。しかし、現実のビジネスとなるとこの3ステッが守られていないことが多いようです。具体的施策設計にすぐ飛びついてしまうという誘惑にかられるのです。
誰もが「こんな商品を出せばヒットするだろう」とか「こんな販促策を打てば、もっと売れるに違いない」といったアクションが頭の中に浮かぶことがあります。本来であれば、環境分析を行い、基本戦略を立てることが先なのですが、具体策は目に見えるわかりやすいものであり、直接結果をもたらすものなので、ついアクションを考えたくなるのです。
しかし、目的(戦略)があいまいなままアクションに飛びつくことは、ムダ打ちが増え、効率が悪くなるものです。施策を考える前に、その目的となる戦略を明らかにすることが必須です。そして、その戦略を構築するプロセスとして環境分析を行わねばなりません。まずは定石どおりに3ステップの手順に従うことが重要です。
また、この手順で策定されたマーケティング戦略は、一度立案したらそれで終わりということではなく、施策を実行した結果を踏まえて、環境分析を修正する、戦略を再構築する、施策を練り直すといった取り組みが必要となります。このようにマーケティング戦略は実行を通じて常に磨かれ、より良いものに改善されていくのです。
みなさんは、これからご自身のビジネスのマーケティング戦略構築に取り組むことになります。そのプロセスの中で、今自分がどのステップにいて、ここでは何を考えなければならないのかを意識しておくことが重要です。道に迷った時には、このオーバービューに立ち返って、自分の立ち位置を確認してください。
マーケティングと製品市場分析(PMマトリクス)の違い…勉強不足で答えを出せなかったのですが、①日本経営会計専門家学会の研究部会で学んだ市場分析と貢献度、②先日紹介したⅰ本にあった変革の三段階、①と②の組み合わせで気づきがありました。加えて、青山先生が提案されている③ⅱBIツール…マーケティングに100%の成功はあり得ませんが、①②③で成功する根拠をしっかり整えることによりⅲデジタルとⅳリアルの距離を近づけることができるのではないでしょうか。著者の家弓正彦氏のミーティングファシリテーションを受講したことがあります。BIツールで分析し仮説を作り→実行した営業活動をデータで確認(検証)→立ち位置を確認し次なる仮説を立てる…そういう会議を支援することで勉強不足が解決できると気づきました。
ⅰ『顧客減少時代のマーケティング』小阪裕司著
ⅱBIツールとは、企業が持つ様々なデータを分析し「見える化」するツール
ⅲデジタルを活用して行うデータ分析
ⅳデータ分析で立てた仮説と現実の商品・市場の動き