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『明日を支配するもの』P.F.ドラッカー 著 上田 惇生 訳

ダイヤモンド社発行 1999年3月18日第1刷 2019年3月27日第27刷

経営戦略の前提が変わる P48
 事業の定義を現実の成果に結びつけるものが経営戦略である。経営戦略が望ましい成果を上げないときには、事業の定義を考え直さなければならない。もちろん、経営戦略上予期しなかった成功も、事業の定義を見直すべきことを教える。まったくのとこる、何が機械であるかを決めるものは経営戦略である。経営戦略がなければ、何が成果に結びつき、何が資源の浪費にすぎないかを知る術はない。
 それでは、二十一世紀という急激な変化と不確実性の時代にあって、経営戦略自体が前提とすべきものは何か、組織特に企業が、自らの経営戦略の前提とすべきものは何か、何か確実なものはあるのか。
 これからの時代にあって、確実なものは五つある。いずれも、今日の経営戦略が前提としているものとは異なる。そもそも経済に係わるものではない。社会と政治に係わるものである。
 それは、次の5つである。
 (1)先進国における少子化
 (2)支出配分の変化
 (3)コーポレート・ガバナンスの変化
 (4)グローバル競争の変化
 (5)政治の倫理との乖離

あらゆる情報の基本 P57~58
 企業は、市場シェアには気を使う、売り上げを知ろうとし、その増減を気にする。あらゆる企業が自らの成長の度合いを把握している。ところが、ほとんどの企業が本当に重要な数字を知らない。すなわち顧客の支出のうち、自社が提供するカテゴリーの製品やサービスに使ってもらっている割合についての数字である。この数字の増減を追っている企業は、事実上皆無といってよい。
 支出配分の変化こそ、あらゆる情報の基本である。経営戦略のための基本的な情報である。なぜならば、支出配分は、一度落ち着くならば、長い間そのまま続くからである。一般的にいって、好不況の影響をあまり受けることがあまりない。
 したがって、支出配分の変化ほど、企業にとって重要なものはない。同じように重要なものが、同一カテゴリー内での変化である。
 二十一世紀の初めの数十年間は、この支出配分のカテゴリー間の変化と、カテゴリー内での変化の双方がかなり重要なものになる。ところが、この支出配分の変化に注目している企業やエコノミストはあまりいない。そもそも、彼らはそのような問題があることさえ知らない。

 今、集中して学んでいるのが「財務データと製品市場分析の組み合わせによる経営戦略分析」です。この本を読んで、マーケティングとともに顧客創造に必要なのがイノベーション。Afterコロナの経営戦略、「顧客の支出配分の変化」を知ることがイノベーションに取り組む基本と気づきました。

『創造する経営者』P.F.ドラッカー 著 上田 惇生 訳

ダイヤモンド社発行 2007年5月7日第1刷発行 2017年5月12日第12刷発行

診断の再点検
 これまでに大要を明らかにしてきた四つの分析から、企業のマネジメントは、その経済的な機能の遂行に必要とされる自らの事業に対する理解を得ることができる。しかし、それも四つの分析は、いずれも、一つだけでは役に立たない。
(1)業績をもたらす領域についての分析(第2章)、利益と資源についての分析(第3章)
(2)コストセンターとコスト構造についての分析(第5章)
(3)マーケティング分析(第6章)
(4)知識分析(第7章)
 これら四つの分析を総合して行うことによって初めて、企業のマネジメントは、自社について理解し、診断し、方向づけを行うことができるようになる。
 しかし、もう一つ重要な段階がある。それは、(1)と(2)の分析によって事業そのものについて行った暫定的な診断を、(3)と(4)の分析によって再点検していくことである。その結果、時として、せっかくの企業診断を大幅に変更する必要が出てくる。確かに事実は正確に把握した、しかし、まだ本当に理解するところまでは把握していないという場合出ある。
 例えばある製品は、その属すべき製品類型(第4章)を変えることが必要となる。非生産的特殊製品が、別の市場、別の流通チャネルでは、きわめて有望な製品であることがわかるかもしれない。逆に、暫定的な診断においては、堂々たる今日の主力製品、あるいは明日の主力製品と判断したものが、実はすでにライフサイクルの末期、あるいは末期近くにあるかもしれない。これらのことは、製品だけでなく、市場やチャネル、そして時には事業全体についても言える。

 研修で「Power BI」の説明を受けました。BIはビジネス・インテリジェンスの略。マイクロソフトからツールとして提供されています。企業が蓄積しているデータを分析し、その結果から得られた知見をあらゆる活動に生かすために使うことが目的。データそのものが蓄積されるデータベースとは違い、別のツールとしてレポートが表示でき、データ分析に関する様々な機能を持っているソフトウェアです。
 ドラッカーの本に「事業の再点検」という言葉があります。①現状を分析診断し、それを②マーケティング分析と知識分析で点検することが「事業の再点検」です。これまで、分析した仮説①をもとに②へ進むというステップを踏んできたのですが「再点検」の意識が低く、分析した①を経営者や現場の責任者と話し合う(現状確認)機会を持たず、②へ進んでいるのが現状でした。ドラッカーの教えとBIツール活用で戦略目標やKPIの設定がより進化することがわかりました。