今日の1ページ

「買物難民を救え!移動スーパーとくし丸の挑戦」村上稔著

緑風出版 2014年7月 初版発行

「買物難民を救え!移動スーパーとくし丸の挑戦」村上稔著(P.118 地域密着人口「増」の時代)
 これからの経済を考えるうえで、「欠かせない」一番大きな視点は、やはりかつてない少子高齢化と、それに伴う人口減少の到来でしょう。
 (中略)
しかし、人口増加は2010年の一億二八〇六万人でピークを迎え、ついには人口減少の社会に入りました。これから消費委人口という全体のパイは小さくなっていきます。「成長神話」という言葉が言われますが、こういう時代の到来を受けて、今までと同じような経済成長を前提とする経営計画や、それを遂行する責務を負う人たちは、時を経ずして行き詰まり、破たんするのが目に見えているのではないでしょうか。
やはりこれからは、闇雲に右肩上がりの成長を追いかけるのではなく、持続可能性・・・横文字で「サステナビリティ」を第一に考えた経済を、官民ともに国家目標として創っていかなければならない時代になっているのだと思います。
そんな時代の中でニュービジネスは、どういうマーケットに対してターゲットを見据えて行けばいいのでしょうか。
千葉大学教授の広井良典さんは、著書「人口減少社会という希望」の中で、これからは「地域密着人口」が増えていく時代であると指摘しています。
広井さんによると、「地域密着人口」とは、一言でいえば高齢者と子供です。高齢者とは一般的に六五歳以上を指しますが、ようするにその年齢は、会社を退職して、昔でいえば「隠居」をする年齢ということです。それまでは「就業人口」と言われるように、彼らの生活は家と会社の行き来を日常として「地域」との関係は希薄でした。
地域は彼らにいとって、「寝に帰る所」で、そこで消費をしたり、文化的な活動をしたり、コミュニティに関わったり、という場所ではなかったのです。
ところが、退職後はその行き来が必要な気なるので、生活圏は「地域密着型」へと移行していくだろうというのです。買物や外食、また病院や散髪等にしても、自分の家の近くで済ませるという人が増えてくるという予測です。

「買物弱者」でAmazonを検索して見つけました。この本は、長く市会議員だった著者が、新たなビジネスとして仲間と始めた、「移動スーパーとくし丸」の奮戦記です。環境・貧困などの社会的問題の解決を図るための取組を持続可能な事業として展開する、という意味のソーシャルビジネスという言葉に興味を持ちました。移動スーパーとコミュニテイ(地域住民が生活している場所)を組み合わせ、何か新たなアイデアが生まれそうです。

「超高齢社会における食料品アクセス問題」薬師寺哲郎 編著

ハーベスト社刊 2015年3月 第1刷発行

「超高齢社会における食料品アクセス問題」薬師寺哲郎 編著(P.1 本書の狙い)
 2010年の国勢調査結果によれば、わが国における65歳以上の人口の割合は23.0%となり、世界で最も高い水準となっている・・・(中略)。65歳以上の人口は2010年の2,948万人から、25年後の2035年には3,741万人に27%増加し、その割合は33.4%に高まると推計されている。
 一方、食料品店の数は減少を続け、飲食小売業の店舗数は1997年の52万6千から、2007年には39万に10年間で26%減少した(商業統計)。大規模小売り店舗法が廃止された2000年以降、その現象の度合いは加速化している
 このような、高齢化の進展と食料品店の減少という状況の中で、食料品の買い物に不便や苦労のある高齢が顕在化しつつある。例えば、郊外に大規模商業施設が新設されたことにより、旧市街地の店舗が閉鎖され、そこに居住する高齢者等が食料品の買い物に不便をきたしている都市部の例や、Aコープ等の閉店の閉店により、もとより高齢化が進んだ住民の食料品の買い物をめぐる環境が悪化している農村部の例がある。杉田(2008)は「なぜ豆腐一つ買うのにバスやタクシーを使わなければならんような事態になってしまったのか。・・・昔はすぐそばで、豆腐だってなんだって買えた」という宮崎市郊外に住む70歳女性の声を伝えている(P12)。・・・以下略

 買物難民という言葉があります。これまでの商店街や駅前スーパーといった店舗が閉店することで、その地域の住民が生活用品などの購入に困るという社会問題で、その被害を受けた人々をさします。買物弱者という表現もされます。
 これまで、今日の1ページで取り上げてきた本とジャンルが全く違うのですが、なぜか気になり読み出しました。国は「経営強化法」で地域の中小企業・小規模企業の経営を支援する施策を強化しています。その背景には、この本のような社会現象があります。私たちは、今、認定支援機関として「経営力向上計画」への取組を始めていますが、その背景にはこの本のような課題があることを改めて認識しました。後継者問題、経営者の高齢化、少子高齢化現象は経営環境の悪化→事業所数の減少というスパイラルになっています。中小企業庁からだされた「事業別分野別指針」には、事業を維持・継続するための方向性が出されています。環境分析の手法としてSWOT分析があります(内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威)が、この本を読んで、事業別分野指針を参考にして「買物難民現象」という脅威をいかに強みに変えるか、という取組が必要と気づきました。

「スコアをつければ組織は動く」チャールズ・A・クーンライト、リーベンソン著(2)

ダイレクト出版株式会社 2017年4月 発行

「スコアをつければ組織は動く」チャールズ・A・クーンライト、リーベンソン著(P.112参加者すべてが勝者になれる機会を作る)
 毎年、アメリカでは大規模なマラソン大会が多数、開催されている。大都市はどこでも、この42.195キロの耐久テストを主催し、それ以外の都市や町でも大会が行われる。マラソンはあらゆる年齢、職業の人を引き付ける。
 だが、男子の最高記録保持者となれるのも、女子の最高記録保持者となれるのも、この何十万、何百万という人の中の1人だけである。それなのになぜこうもマラソンの任期は高いのか?各大会に出場する人の99.9%が1位になれない協議が、なぜアピールするのか?
 その理由はここにある。マラソンでは会うべてが勝者になれるのだ。出場者全員が1位になることはできないが、全員が勝者になりことはできる。マラソンでは、人類の最も古い物差しを使って評価することが可能である。つまり、以前より進歩したかどうかを尺度にすればよいのだ。
 マラソンランナーは人との比較ではなく、“自分自身を基準に”パフォーマンスの測定をする。タイムが縮まれば……例え1秒でも……勝利である。毎年2万5000人以上が参加するニューヨークシティマラソンでは、2万5000人の勝者が誕生するかもしれない。勝者が2万5000人素晴らしいことである。
 あなたの会社、組織、家族はどうだろう?マラソンのような運営がされているだろうか?勝者の数を最大にするようなスコアキーピングとフィードバックのシステムが確立しているだろうか?大多数の人が進歩、成功、そして勝利する機会を与えられているだろうか?あなたの組織は多数の従業員の勝利を受け入れる体制にあるだろうか?

 「単なる測定」の代表…「平均」を基準に、授業員、つまりプレーヤーをランクづけする統計的手法、これは学校時代の評価方法と同じで融通の聞かない評価方法と言い切っています。そして、ゴルフのハンディを例に、私たちに必要なのは、まだ平均には達しない者の、この1年の実績の伸びが最大の人を見つけ出してたたえることである。だがそれにはまず、勝者の数を最大にするシステムを導入しなければならない」とP129で述べています。
みんなが勝者になれるマラソンランナーのような人事の仕組みができれば素晴らしいと思います。2割の優秀な社員を目標にしたフィードバックの仕組みから、もっと踏み込んで、「自分の“目標”基準に照らして、勝っているのか負けているのかを常にチェックできる」システムにすべきでしょうか…。
 連休で熟読することが目標でしたが、読みながら反省することが多く、前にすすみませんでした。

「スコアをつければ組織は動く」チャールズ・A・クーンライト、リーベンソン著

ダイレクト出版株式会社 2017年4月 発行

「スコアをつければ組織は動く」チャールズ・A・クーンライト、リーベンソン著プレースるように働こう!(本の見出しから)
会社の親睦会でバレーボールをするとき
同僚10人は一瞬のうちに結束を固め
目標に向かって一致団結する
ところが、その10人が職場に戻るや
そのまとまりは全く見られなくなってしまう。
これはなぜなのか?
私たちは、やる気の湧くもの、
目標が明確なもの、
進捗の度合いが示されるものに
動かされる興味があるのだ

鍵はスコアキーピングにある
しかし、企業の従来の測定では、
ネガティブな面に注目するばかりで、
逆に意欲を喪失させてしまう。
これを「スコアキーピング」に変えたとき、
真の「測定にもとづいたマネジメント」がスタートする。
スコアをつけることではなく、
いかにしてスコアをつけるかが重要なのだ。

本書の紹介する手法は、
スポーツで使われる測定手法を職場に応用するものだ。
これまで何千社もの企業がこのシステムを採用後、
大幅に生産性を向上させ、職場環境を改善し、
志気を高めることができた。
効果的なスコアキーピングの仕組みと職場を
理解して実践すれば、全社の環境、管理スタイル
目標の大小に関係なく、
生産性、収益性が向上するだろう

 「なぜ、このシンプルなシステムは、やる気のない従業員をモチベーションの高い人間に生まれ変わらせるのか?」という本の帯の言葉のも惹かれました。
私は、以前学んだ「成長支援制度」とバランス・スコアカードを使った経営手法を融合させたいと考え、取り組んでいます。「成長支援制度」のカギは、目標面接とフィードバックの仕組みにあると理解しているのですが、経営戦略との関連付けを前進させることができず、それが「壁」になっています。効果的なスコアキーピングの仕組みがあり、やる気のない社員のモチベーションを上げることができるとすれば…魔法の杖と同じです。5月の連休はこの本を熟読することに決めました。中小企業等経営強化法に関連する税制措置がテーマでしたが、それは勤務時間内?します。