今日の1ページ

『税理士が経営参謀になる極意』 公認会計士・税理士 柴山 政行 著

発行者 橋詰守 発行 株式会社ロギカ書房 2022年2月1日初版発行 P76

マーケティングの定義
 ここでは、マーケティングの定義について一緒に考えていきましょう。
 マーケティングについて考えるにあたって、ドラッカーの経営理論が非常に参考になりますので、まずはドラッカーの企業の目的に関する理論から見ていきます。
 ドラッカーによると、企業の目的は「顧客の創造」とされています。
 顧客の創造とは、お客様をつくること、マーケットをつくること、市場を作り出すことです。
 ドラッカーの言う顧客の創造という言葉を「お客様作り」とやさしく表現されたのがランチェスター経営で有名な竹田洋一先生です。
 お客様に喜んでもらい、お金を払ってでも欲しいいと思う人たちをたくさん作り出すことが企業の目的ならば、マーケティングは企業の目的を表年するための活動と考えていいでしょう。
 
そこで、顧客の創造あるいはお客様作りに関わるあらゆる活動を「マーケティング」と定義付けておきたいと思います。

ランチェスター理論に基づくマーケティング理論=竹田陽一
 お客様をつくる活動にはどのようなものがあるか、さらに具体的に見ていきます。
 竹田先生によると、お客様作りについて非常に重要なことが2つあると言います。
 1つ目は商品対策です。つまりいかに強い商品を作るかです。
 2つ目は、いかに強い営業体制を作るかという、営業対策です。更に営業対策を4つに分けます。商品対策で一つ、営業対策で4つ。併せて5つの項目を考えることになります。これが社長の考えるマーケティングの具体的な対策です。
 まず1つ目は、商品対策、強い商品作りです。
 2つ目が営業対策の1番目、営業地域対策です。どの地域にマーケットを絞り込むかということです。現代はインターネット時代で、この営業地域という概念は薄れてきているのですが、その場合はインターネットで「見込み客が検索するキーワード」に置き換えればいいでしょう。
 営業対策の2番目は客層・ルートです。どんなお客様に対して売るか、お客様の客層を絞り込む。例えば、会社がメーカーの場合、製品を最終的に消費するお客様との距離が遠いなら、その間に中間業者が存在します。どのようなルートで売るかというルート対策です。
 営業対策の3番目は新規の獲得です。
 営業対策の4番目が顧客維持です。一旦獲得したお客様を湧出させずに、いかに長くお付き合いしていただくか、顧客維持の活動・対策があります。
 以上の5つが、竹田先生のランチェスター戦略に基づくマーケティングの具体的な分解です。

3C分析
 さらに、重要な理論があります。それは3C分析と言います。3つの頭文字で始まる要素です。
 1つ目は、カスタマー又はクライアントです。これは顧客です。
 2つ目は、コンペティターで競合他社、ライバルです。
 3つ目は、カンパニーで自社、企業です。
 例えば、自社の強みを競合の弱みにぶつけることで、自社が共創優位に立てる可能性が高まります。そのために、顧客のニーズだけでなく、自社と競合の強みと弱みを詳しく分析する必要があるというのが3C分析のポイントです。
 ランチェスター戦略の5つの対策に続いて、3C分析の戦略フレームが重要なのだということを心にとめておいてください。

集客×販売×商品 マーケティングの4P
 私が2020年にマーケティングの専門家のセミナーを受けたときに非常に共感した理論があるので、これもご紹介します。
(中略)
 マーケティングの4Pと言われる理論です。Pの頭文字で始まる4つの要素があります。
 1つ目のPは、プロダクトです。プロダクトというのは製品です。
 2つ目のPは、プライスです。価格です。
 3つ目のPは、プレイスです。これは流通で流通戦略です。
 4つ目のPは、プロモーションです。販売促進です。
 プロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)、そしてプロモーション(販売促進)という4つの側面から企業戦略を見ていくということも大事だと言われています。
(攻略)

 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、先行きが見通しにくい厳しい経営環境です。今、小規模企業者に必要なことは、外部環境の変化や消費者の新たなニーズを捉え事業の見直しに取り組むこと。この本のP84では「マーケティングは、お客様のニーズの変化に合わせる活動」と説明しています。「税理士が経営参謀になる極意」を書いた本ですが、経営者の皆様が読んでもわかり易い本でしたのでご紹介します。Amazonで買いました。蛇足ですが、誤字(校正ミス)を見つけて嬉しくなりました。

『「知る」と「できる」は大違い!マーケティングの本質を極める3ステップ』 家弓 正彦 著

株式会社シナプス発行 2019年4月30日 第1版発行 P13~14


 上の図2-1は、基本的なマーケティング戦略策定のプロセス全体を示しています。ここで重要なのはそのプロセスが、大きく分けて三つのステップから成り立っていることです。
 最初のステップは、自社のビジネスをとりまく環境を的確に把握し、分析する「環境分析」、次のステップは、攻略すべきターゲット顧客と自社のポジショニングを決定する「基本戦略構築」、そして最後のステップは、基本戦略を具現化するための「具体的施策設計」です。
 このようにマーケティング戦略構築の流れはとてもシンプルで、わかりやすいものです。しかし、現実のビジネスとなるとこの3ステッが守られていないことが多いようです。具体的施策設計にすぐ飛びついてしまうという誘惑にかられるのです。
 誰もが「こんな商品を出せばヒットするだろう」とか「こんな販促策を打てば、もっと売れるに違いない」といったアクションが頭の中に浮かぶことがあります。本来であれば、環境分析を行い、基本戦略を立てることが先なのですが、具体策は目に見えるわかりやすいものであり、直接結果をもたらすものなので、ついアクションを考えたくなるのです。
 しかし、目的(戦略)があいまいなままアクションに飛びつくことは、ムダ打ちが増え、効率が悪くなるものです。施策を考える前に、その目的となる戦略を明らかにすることが必須です。そして、その戦略を構築するプロセスとして環境分析を行わねばなりません。まずは定石どおりに3ステップの手順に従うことが重要です。
 また、この手順で策定されたマーケティング戦略は、一度立案したらそれで終わりということではなく、施策を実行した結果を踏まえて、環境分析を修正する、戦略を再構築する、施策を練り直すといった取り組みが必要となります。このようにマーケティング戦略は実行を通じて常に磨かれ、より良いものに改善されていくのです。
 みなさんは、これからご自身のビジネスのマーケティング戦略構築に取り組むことになります。そのプロセスの中で、今自分がどのステップにいて、ここでは何を考えなければならないのかを意識しておくことが重要です。道に迷った時には、このオーバービューに立ち返って、自分の立ち位置を確認してください。

 マーケティングと製品市場分析(PMマトリクス)の違い…勉強不足で答えを出せなかったのですが、①日本経営会計専門家学会の研究部会で学んだ市場分析と貢献度、②先日紹介した本にあった変革の三段階、①と②の組み合わせで気づきがありました。加えて、青山先生が提案されている③BIツール…マーケティングに100%の成功はあり得ませんが、①②③で成功する根拠をしっかり整えることによりデジタルとリアルの距離を近づけることができるのではないでしょうか。著者の家弓正彦氏のミーティングファシリテーションを受講したことがあります。BIツールで分析し仮説を作り→実行した営業活動をデータで確認(検証)→立ち位置を確認し次なる仮説を立てる…そういう会議を支援することで勉強不足が解決できると気づきました。


『顧客減少時代のマーケティング』小阪裕司著
BIツールとは、企業が持つ様々なデータを分析し「見える化」するツール
デジタルを活用して行うデータ分析
データ分析で立てた仮説と現実の商品・市場の動き

『最新農業の動向と仕組みがよ~くわかる本』中村 恵二/山口 大樹 著

株式会社秀和システム発行 2018年4月1日第1版第1刷 2019年1月20日第1版第2刷

(P94)
六次産業化の基本
六次産業化は、今村奈良臣・東京大学名誉教授が提唱した農業論で、「一次産業×二次産業×三次産業=六次産業」という形で、農林漁業者が、製造業やサービス産業と連携していくことの必要性を説いています。
【1×2×3=】
 最初は「1+2+3=6」だったものを「1×2×3=6」と掛け算にしたことについて、今村教授は農地や農業がなくなれば、つまりになれば、六次産業そのものが消え失せてしまうことや掛け算にすることによって、農業、加工、販売・情報の各部門の連携を強化し、付加価値や所得を増やし、基本である農業部門の所得を一段と増やそうということにあります。そして、農業部門はもちろん、加工部門あるいは販売・流通部門さらにはグリーン・ツーズムなどの観光で新規に就業や雇用の場を拡げ、所得の増大を図りつつ、六次産業の拡大再生産の道を切り拓こうという理由からだと述べています。
【六次産業化がめざす基本課題】
 今村教授は農業の六次産業化を推進し、成果を上げ、成功への道を切り拓いていくための基本課題として、五つの項目を挙げています。
 第一の課題は、消費者に喜ばれ愛されるものを供給することを通して、販路の確保を着実に伸ばしつつ、農山漁村地域の所得と雇用の場を増やし、それを通して農山漁村の活力をとりもどすことであるとしています。
 二つ目は、様々な農畜産物(水産物も含む、以下同じ)を加工し、販売するにあたり、安全・安心.・健康・新鮮・個性などをキーワードとし、消費者に信頼される食料品などを供給することです。
【都市と農村の交流など】
 さらに、三つ目の課題として、企業性を追求し、収益ならびに所得の確保を図ることを掲げています。農畜産物の生産や加工、食料品の製造に当たっては、あくまでも企業性を追求し、可能な限り生産性を高め、コストの低減をはかり、競争条件の厳しい中で収益ならびに所得の確保を図ることを課題としています。
 四つ目は、六次化を新たなビジネスの追求にのみ終わるのではなく、地域環境の維持・保全・創造、特に緑資源や水資源への配慮、美しい農村景観の創造などに努めつつ、都市住民の農村へのアクセスへの道、新しい時代のグリーン・ツーリズム注1 の道を切り拓くことに努めることとし、最後の五つ目としては、農業・農村の持つ教育力に着目し、農産物や加工食料品の販売を通し、都市と農村の交流を通し、先人の培った知恵や英知の蓄積、、つまりムラの命を、都市とりわけ、次代を担う若い世代に吹き込み、新しい姿を創りあげることを掲げています。

 「農業法人」とは、法人形態によって農業を営む法人の総称。農業生産法人とは違います。法人形態は「会社法人」と「農事組合法人」に分けられます。説明はここまでにして……最近農業法人の相談を受け、六次産業化という言葉が気になりこの本を買いました。農業と2次産業や3次産業を組み合わせることにより、付加価値を上げる取り組みとわかりましたが、生産する農家がいなければ成り立たない仕組みです。この本にあるように農地や農家がなくなれば六次産業そのものが消えてしまいます。これを機会に「農家が儲かる仕組み」に取り組んでいます。

注1グリーンツーリズム 農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動

『コトラーのマーケティング講義』フィリップ・コトラー著 木村 達也 監訳・有賀 裕子 訳

ダイヤモンド社発行 2004年10月7日第1刷発行

(P43)
061 マーケティングはニーズに応えるだけですか?それとも、進んでニーズを生み出すのでしょうか?
 マーケティングはニーズを創造しません。ニーズを前提にして、それを満たしそうな具体的な製品やサービスについて、欲求を引き出すのです。生まれながらにして、ソニーの(ウォークマン)を欲しいと考えていた人などいませんよね。ですが、音楽や言葉などによる刺激へのニーズはあるでしょう。基本的なニーズを満たすための1つの方法として、たとえばソニーの(ウォークマン)の欲求を生みだすのが、マーケティングなのです。さらに言えば、買い手は(ウォークマン)そのものを買うというよりは、(ウォークマン)が約束するサービスを期待して、購入にいたるのです。
 もちろん、ソニー以外のブランドを選ぶ買い手もいるでしょう。そこで各メーカーは、自社ブランドの魅力度を高めようと努力します。そのためには設計やデザインの改良、機能の追加、サービス向上、低価格などを実現することになり、そのそれぞれが異なる買い手を惹きつけます。各社は、ターゲット市場を明確にして、その市場に属する人々により強くアピールするように、製品を設計する必要があります。
 ニーズにこたえるよりも、むしろ問題を解決するのが、マーケティングの役割です。ニーズや欲求が満たされていなければ、そこには問題があります。ごく、一般的なニーズならすでに満たされていますが、他のニーズは放置されているのではないしょうか。

 ドラッカーの『創造する経営者』P160「四つの分析から、企業のマネジメントは、その経済的な機能の遂行に必要とされる自らの事業に対する理解を得ることができる」と言っています。四つの分析とは
➀業績をもたらす領域についての分析、利益と資産についての分析
➁コストセンターとコスト構造についての分析
➂マーケティング分析
➃知識分析
であり、➂にマーケティング分析が出てくる意味が理解できなかったのですが、『コトラーのマーケティング講義』を読み、つながりが少しわかりました。このプロセスで戦略やKPIを特定することにチャレンジします。

『小さな会社こそが実行すべき ドラッカー経営戦略』和田 一男 著

明日香出版社発行 2012年11月21日初版発行

(P56)
12 製品分析の基本④製品分類分析
 製品を分類し対策を考えます。ドラッカーは11種類に分けて、それぞれに特徴、とるべき対策、処方があると説明しています。
最初の5つは対応が容易なものです。
➀今日の主力製品
 現在の主力になっている製品、成長の余地は残されているか、資源を過剰配分していないかを注意する。
➁明日の主力製品
明日の主力となる製品。追加資源の見返りが最も大きな製品で、育てる努力が必要
➂生産的特殊製品
 限定された特殊な市場を持つ製品。市場でリーダーシップを持つ製品別利益の大きい製品。
➃開発製品
 見通しのまだわからない、市場に導入中の製品。潜在成長力は期待されるが、後述する独善的な商品にならぬよう、注意が必要。
➄失敗製品
 明らかな問題製品。痛みは大きいが、廃棄や安売り等対応ははっきりしている。

次の6つ
➅昨日の主力商品
 もはやピークを越えてしまった製品。利益には貢献していない。貢献度や愛着はあるが衰退を防ぐことはできない。早い決断が必要。
➆手直し用製品
 製品に手直しによって、大きな成長、市場のリーダーシップ、見返りが大きいと判断される製品。手直しのための欠陥が明確で、内容も大きな利益と成長が現実に見込まれるもの。手直しの機会は一度限りとしないと、問題がさらに深まっていく可能性が高い。
➇仮の特殊製品
 主力商品となりうるのに、特殊製品として扱ってしまっているもの。個別の顧客だけではなく、市場から見た製品の位置づけや次世代の製品の在り方を考える必要がある。
➈非生産的の特殊製品
 市場において無意味な差別化を行っている製品。経済的機能をはたしていないために、売れない。利益流出の原因ともなる。 
➉独善的製品
 明日は成功すると信じられていて、多額の投資をしているが、明日が来ない製品。成功するまでやり直すなどと固執するケースは極めて危険な状態。
⑪シンデレラ製品、睡眠製品
 チャンスを与えればうまくいくかもしれない製品。機会を生かし、資源や支援を十分与えるべき製品だが、者にの力関係で思いきったシフトが行われていない場合がある。

このように、製品の分類、そして処方を考えることも重要ですが、製品の性格の変化を注意深く捉えなければなりません。なぜなら、時間がたてば①今日の主力製品が➅昨日の主力製品になったり、④開発製品が⑩独善的製品になったりするためです。変化を知るためには、2つの原則があります。

➀予期したものと違う結果が出るようになる
 期待と業績を比較することによって、独善的製品という対価していく傾向や、シンデレラ製品という機会の損失を発見することができます。
➁投資の増分に対して、得られる算出量が得られない
 永久に続く製品はありません。すべての製品にはライフサイクルがあり、製品のステージが変化します。

 変化を的確に捉え、どの製品にどれぐらい投資すればいいかを診断することが明日の予測と予防のための手段へと変わります。

 この本は、ドラッカーの『創造する経営者』上田惇生訳のP61「製品とライフサイクル」をわかりやすく解説したもので、脚注に「これらの分析は市場や流通チャネル(販路)にも行うことができます」と書いてありました。私が今、興味をもっているのは、市場と営業利益の貢献度分析です。製品の貢献度分析は出てくるのですが、市場分析に言及した記載を見つけることができません。営業利益の貢献度が高い市場と低い市場があります。この本に書いてあることを参考に利益貢献度の低い市場と高い市場にとるべき戦略を“営業”の視点から分析してみることにしました。

『人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ 著 仁平 和夫 訳

株式会社阪急コミニュケーションズ発行 1998年6月1日初版 2010年4月6日初版第33刷

(P74 どの顧客がドル箱になっているか)
 次に、顧客を考えてみよう。分析のやり方は同じだが、この場合は、顧客別、顧客グループ別に計算する。高い価格を払ってくれるが、サービスのコストがかさむ顧客もいれば、製品を大量に買ってくれるが、値下げを厳しく要求してくる顧客もいる。プラス要因とマイナス要因が相殺される場合もあるが、そうならない場合のほうが多い。先と同じ計器メーカーについて、分析結果をまとめたのが、図表9である

 どういう基準で顧客を分類したかを、以下に説明する。「タイプA」は、販売額は小さいが、直販であり、高い価格を受け入れてくれるため、粗利益率が極めて高い。サービス・コストはかさむが、高い粗利がこれを埋め合わせている。「タイプB」は流通業者であり、大量発注してくれるので、サービス・コストが安くすみ、その上高い価格を受け入れてくれる。「タイプC」は輸出業者で、高価格で買い取ってくれるのはいいが、サービスに大変なコストがかかる。「タイプD」は大手電子キキメーカーで、絶えず値下げ圧力をかけてくるうえ、アフターサービスに対する要求が激しく、特注品も多い。
 図表10は、先のデータをグラフ化したものである(ここでは、図表を加工しています)。これを見ると、59対15、88対25になっていることがわかる。
「タイプA」は売上に占める割合は15%だが、利益に占める割合は59%と高く、「タイプA」と「タイプB」を合わせると売上に占める比率は25%だが、利益に占める比率は88%に達する。これは、収益性の高い製品を買ってくれていることもあるが、サービス・コストが相対的に低いこともある。

 私が調査した計器メーカーは、この分析結果をもとに、「タイプA(直販)」とタイプB(流通業者)」の顧客を増やすキャンペーンに乗り出した。そのキャンペーンには当然コストがかかったが、それ以上の見返りがあった。「タイプC(輸出業者)」については、製品価格を一部引き上げる、サービス・コストを引き下げる方法を見つけた。電話での連絡や商談を増やしたのである。「タイプD(大手の電子機器メーカー)」については、個別に交渉した(9社がタイプDの売上の97%を占めていた)。技術顧問料を別途に請求した場合もあれば、製品の値上げ交渉に成功した場合もあった。交渉が決裂した3社は、ライバル企業に譲り渡す事にした。経営陣は厄介払いができて、ほっとしている(この3社を顧客にしたライバル企業は、採算が悪化するに違いない)。

 「財務データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」をテーマに取り組んでいます。
ドラッカー『創造する経営者』のまえがきに、最初の書名案が「事業戦略」だったと書いてありました。そして、P114で「製品や市場や流通チャネルなど業績をもたらす領域についての分析。利益や資源やリーダーシップについての分析、コストセンターやコストポイントについての分析など、事業そのものについての分析は、企業が「いかなる状況にあるか」を教える。」と事業の分析について述べています。
以前紹介した『人生を変える80対20の法則』を読んでいたら、P74「どの顧客がドル箱になっているか」に具体的な分析の方法が書いてありました。私が読んでいる『経営者の条件』は、「訳者あとがき」によると旧約は1964年、この本の著者リチャード・コッチの生まれが1950年。ドラッカーが「何をなすべきか」について書いている『経営者の条件』とつながりました。「財務データと製品市場分析を組み合わせた経営戦略分析」の基本にします。

『最強の営業戦略』A.T.カーニーパートナー 栗谷 仁 著

東洋経済新報社発行 2008年12月17日第1刷発行 2018年2月16日第10刷発行

(P53)
Section2 営業で使えるセグメンテーション
※セグメンテーションの切り口
 市場規模や攻略ターゲットを決めるためには、同一のニーズを持った顧客単位、すなわち、顧客セグメントに分類することが重要であることは言うまでもない、営業戦略においてポイントとなるのは、営業が理解できるプロファイル・属性にセグメントを分類・整理することである。
 顧客のニーズは感性的な表現になりやすい。たとえば、「簡単操作セグメント」としてセグメントの内容を表現した場合、製品開発を目的とするマーケティング部門や開発部門ではこのセグメントが十分大きければ、開発スタートの判断ができるので、簡単操作セグメントという規定の仕方が有効である。しかし、営業部門が見たらどうだろうか。簡単操作セグメントを攻略せよと言われても、自分の担当顧客のどこを攻めたらよいのか、また、新規先の場合にはどこに行ったらよいのかもわからないだろう。営業活動に反映するためには、一歩進んでこの「簡単操作セグメント」を規定する軸として営業が認識できるプロファイル・属性を見つけることが必要となる。営業活動に反映できるセグメントの規定の仕方が営業戦略におけるセグメンテーションでは求められる。したがって、ある程度ニーズが共通で同様の攻略方法が可能なグループをセグメントとして、営業活動に反映するには、どのようなセグメンテーション軸を考えるべきかを検討することが大変重要である。
 一般的には、規模が異なるとニーズも異なりやすい。また、業種が異なれば明らかにニーズも異なる。最もシンプルなセグメンテーションの捉え方は規模×業種となる。シンプルではあるが、このようンな捉え方で十分営業活動に足るビジネスも多く、まずトライしてみることが重要であろう(図表2-12)。
→紙面の都合で図表は掲載しません。図表2-12では各セグメント評価のポイントとして、次の2点をあげています。
(自社シェア)
・定量化できない場合も多く、その場合、競争環境などから大まかに色分け
・チャネルや営業担当者のインタビューで推定することも多い
(利益)
・定量化できない場合も多く、その場合、競争環境などから大まかに色分け
・自社の利益率から推定する場合も多い

 この本は、最近青森にできた東北最大規模といわれるブックスモア(MOA)で買いました。ほとんどの企業は、わが社が扱う商品やサービスを提供できるのはどの顧客か?という視点で営業しているのではないでしょうか。商品やサービスではなく、顧客ニーズ優先で考えてみませんか。マーケティングでセグメントという言葉が使われます。簡単に表現すると集団やまとまりを区切った区分のこと。現在の顧客をセグメントしたうえで、「競争で勝てるセグメントか?」「わが社の経営に貢献しているセグメントか?」見直すことが必要です。withコロナの攻めはセグメントから始めましょう。

『人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ 著 仁平 和夫 訳

株式会社阪急コミニュケーションズ発行 1998年6月1日初版 2010年4月6日初版第33刷

(P13)
パレートの発見――必ず不均衡が生じる
 80対20の法則の基本原則が発見されたのは、約100年前の1987年で、それを発見したのがイタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートだった。「パレートの法則」「80対20の法則」「最小努力の法則」「不均衡の法則」など、この法則にはさまざまな名前が付けられているが、本書では「80対20の法則」と呼ぶことにする。パレートの発見以来、この法則は、経営者、コンピューター研究者、品質管理担当者など、責任ある地位につく数多くの人たちに陰ながら大きな影響を与えてきた。それでもまだ、この法則が十分にいかされているとは言えない。80対20の法則を知り、それを活用してきた人たちでさえ、この法則が持つパワーのほんの断片しか利用していない。
 それでは、パレートはいったい、どんなことを発見したのか。パレートは十九世紀のイギリスにおける所得と資産の分布を調査した。そして、所得と資産が一部の人たちに集中していることを発見した。これ自体は驚くほどのことではない。パレートはそれに加えて、二つの奇妙な事実に気がついたのだ。
 一つは、人口に占める比率と、所得・資産総額に占める比率との間に、一貫して驚異的な関係があるという事実である。(この場合、人口というのは、所得がある人たち、資産がある人たちという意味である)。わずか20%の人たちに資産総額の80%が集中していた場合、机上の計算では、10%の人たちに資産総額の65%が集中し、5%の人たちに資産総額の50%が集中していることになり、調べてみると、実際にそうなっていた。大事なのは、そのパーセンテージではなく、富の分布の不均衡に法則性があったという事である。
 パレートが発見したもう一つの事実は、時代を問わず、国を問わず、集めたデータを調べたかぎり、この不均衡のパターンが一貫して繰り返し現れるということであった。パレートはこの事実を知って興奮した。イギリスの昔のデータを調べてみても、ほかの国の現在のデータを調べてみても、まさに数学的な正確さで、同じパターンが繰り返し繰り返し認められたのである。
 これは偶然の一致にすぎないのか、それとも、経済や社会にとって、何か重要な意味を含んでいるのか。所得や資産以外にも、同じパターンが認められるのだろうか――。パレートは偉大な先駆者だった。所得と資産に注目した人は、パレート以前には一人もいなかったからだ(現在、この分布を調べるのはごく当たり前のことであり、そのデータをもとに、ビジネスでは経済の研究が大きく進んだ)。
 残念なことに、パレートは自分の発見の重要性と適用範囲の広さに気づいていながら、それをうまく説明できなかった。パレートの関心は、魅力はあるが、とりとめのない社会学理論のほうへ移っていき、エリートの役割が研究のテーマになった。そして、そのエリート支配論は、ムッソリーニのファシズムに利用されることになり、80対20の法則は長い眠りにつくことになる。数少ない経済学者、とくにアメリカの経済学者はその重要性に気がついていたが、分野が全く違う二人の開拓者の手によって、80対20の法則が息を吹き返したのは、第二次世界大戦が終わってからだった。

 紹介したのは本論が始まるまでの部分です(汗。 本のプロローグP4に「時間が足りないとよく言われるが、80対20の法則を適用してみればわかることだが、実際はその反対である。われわれには時間がたっぷりある。ただそれを無駄遣いしているだけなのだ。」と書いてありました。また、P71第4章あなたの戦略はなぜ間違っているかという項目には
 どこで利益を上げているか、
 どの顧客がドル箱になっているか、
 収益性を理解し、それを高める鍵は細分化にある
 「80対20分析」から単純に鉄論を出してはいけない
 未来へのガイドになる80対20の法則
 発想を切り替える
 上記についての説明があります。前回の『BCG戦略コンセプト』に、「儲かるセグメントと儲からないセグメントをきちんと把握し、それぞれの経済性に応じた合理的対応を考え、実行することである」という記載があることを説明しました。コロナで遅れた時間を80対20の法則で取り返す努力をします。

『BCG戦略コンセプト』水越 豊 著

ダイヤモンド社発行 2003年11月13日第1刷発行 2004年2月13日第5刷発行

(P56)
1……戦略的セグメンテーションとは何か
●……すべての顧客が利益になっているのではない
 日本において特定のセグメントに的を絞った商品開発・マーケティングが脚光を浴び始めたのはここ10年ほどのことである。それまで多くの企業は、「お客様は神様です」という言葉通り「すべての消費者を大事にしなければならない。だから、みんな一緒に平等に扱わなければならない」という理念にもとづいて経営していた。市場がどんどん成長している時代には、むしろこのやり方は理にかなっていた。なぜなら、どんな顧客でも大事に扱っておけば、そのうち大きな利益に結びつく可能性があったからである。仮に社会にでたばかりで1人暮らしのサラリーマンは、現時点では数か月に1度、電球を買うだけの少額の顧客だとしても、5年、10年と年を経るごとに給料も増え豊かな生活を送るようになれば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン……と、次々に商品を購入し、さらにはそれらを買い替える高額の顧客へと成長していく。つまり、このような将来がある程度予測できる時代には、すべての消費者を潜在顧客とみなし、電球1個のお客様を重視することが、ある意味では戦略的であった。
 しかし、右肩上がりの成長がもはや望めず、消費者ニーズが短期間で変化し、かつさまざまに細分化しつつある状況下では、潜在顧客に対して広くまんべんなくサービスすることはコストの増大を招くばかりだ。なぜなら、すべての顧客を平等に扱ったとしても、すべての顧客が平等に利益をもたらしてくれるわけではないからである。また、画一的な商品・サービスではどの顧客も不満という結果になることが多い。
 そこで求められるのが、従来のように消費者や市場を全体として十把一からげに扱い、全消費者に共通したマーケティングを展開するマス・アプローチではなく、市場や消費者をさまざまな軸で分類しそれぞれに異なったマーケティングをしていこうというセグメンテーションのアプローチである。戦略的セグメンテーションは、顧客によってニーズや商品・サービスの価値、経済が異なるという認識を前提とする。平たく言えば、儲かるセグメントと儲からないセグメントをきちんと把握し、それぞれの経済性に応じた合理的対応を考え、実行することである。

 この本は10年ぐらい前に盛岡のジュンク堂で買いました(その時弘前市に店舗はありません)。BSCと戦略参謀にのめりこむきっかけになった本です(笑。
セグメンテーションとは市場を細かく分け、ニーズごとにグループ化すること。販売管理のシステムで様々な分析ができるのですが、ほとんどの会社が請求管理だけに使っています。
 最近、withコロナという言葉をよく聞きますが、withコロナには「守り」と「攻め」があります。「攻め」はこの本にあるように、儲かるセグメントと儲からないセグメントをきちんと把握し、それぞれの経済性に応じた合理的な対応(→売上金額ではなく、限界利益と固定費を差し引いて貢献している市場なのか)を考え、実行することが必要です。これから、具体的なやり方を提案します。

『コトラーのマーケティング講義』フィリップ・コトラー著 監訳者 木村 達也 訳者 有賀裕子

ダイヤモンド社発行 2004年10月第1刷発行

(P214)
病院に行くと、決まった手順に沿って検査をして、健康状態に問題がないかどうか検査してくれますよね。では、企業が自社のマーケティングについて健全性を知りたい場合にはどうすれば良いのでしょうか?

かつてトム・ピーターズは、店舗やオフィスを訪れて15分もそこに居れば、健全性を判断できる。と述べました。私自身は、「マーケティングを成功させるための十戒」を守っているかどうかで、企業を評価しています。この十戒については、詳しくはTen Deadly Sins of Marketing Signs and Solutions (John Wiley & Sons)を参照してください

1、市場セグメンテーションを行って最も望ましいセグメントを選び、核セグメントに強固な地位を得る。
2、顧客のニーズ、考え方、嗜好、行動などを分析したうえで、顧客に奉仕して満足をもたらすように、さまざまな利害関係者に働きかける。
3、どの企業が主な競争相手であるかを見極め、その強みと弱みを知る。
4、社員、仕入先、流通業者など、主な利害関係者を事業パートナーとみなして、厚遇する。
5、事業機会に目を留め、評価を行い、最も魅力的な機械を選び出すための仕組みを設ける。
6、マーケティング・プランニングを管理して、長期、短期の両面で的確なプラン作りができるようにする。
7、製品ミックスやサービス・ミックスの管理を万全にする。
8、費用対効果の面で最も優れたコミニュケーション・ツールやプロモーション・ツールを用いて、強大なブランドを築き上げる。
9、マーケティングに秀でた企業としての地位を築き、部門間のチーム精神を育む。
10、絶えず新しいテクノロジーを取り入れて、市場での競争優位を保つ。

 最近、販売管理システムと会計データを組み合わせることにより「どうしたら、もっと顧客に貢献し、儲かる仕組みを支援することができるか!」という事に興味を持ち取り組んでいます。そして、マーケティングの用語、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという言葉を思い出し、以前、買ってあるフィリップ・コトラーの本を読みました。戸惑っているのは、市場区分の仕方です。この本を読んで、8、費用対効果の面で最も優れたコミニュケーション・ツールやプロモーション・ツールを用いて、強大な無ブランドを築き上げる。9、マーケティングに秀でた企業としての地位を築き、部門間のチーム精神を育む。という項が参考になりました。試行錯誤を続けてみます。