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「ポジショニング戦略」アル・ライズ、ジャックトラウト 井上純子訳

海と月社刊(2008年4月発行)

「ポジショニング戦略」アル・ライズ、ジャックトラウト 井上純子訳序(マーケティング界を一変させた「新ルール」
03(頭の中に忍び込む)
アメリゴ・ベスブッチが発見したこと
十五世紀のスペリーランドにあたるのが、クリストファー・コロンブスだ。小学生でも知っているように、アメリカ大陸の発見者コロンブスは、努力に見合う評価を得ていない。なぜか?彼が、黄金を求めるあまり口をつぐむという間違いを犯したからだ。
だが、アメリゴ・ベスブッチは違った。彼は十五世紀のIBMだ。ベスブッチのアメリカ到着は、コロンブスに遅れること五年。その代り、彼は二つのことを正しく実行した。
第一に、彼は、「新世界」をアジアとかけ離れた別の大陸であるとポジショニングし、当時の地理学に革命をもたらした。
第二に、自分の発見と主張を克明に記録した。航海中の書簡をまとめた「新世界」は、二五年間で四十ヶ国に翻訳された。
ベスブッチは存命中に、カステリヤの市民権を与えられ、要職についた。その結果、ヨーロッパ人は彼こそ新大陸の発見者と信じ、その名にちなんで新大陸を「アメリカ」と名付けたのだった。
クリストファー・コロンブスは、獄中死を遂げた。(P34)

P34には、「コンピューターを最初に発明したのは、IBMではなくスペリーランドだ。だがIBMは、消費者の頭の中にコンピューターという商品のポジショニングを最初に獲得した。だから成功した。」と書いてあります。

この本は、“世界中で30年間読み継がれる、マーケターのバイブル!”というタイトルにひかれて買いました。コロンブスは、最初にアメリカを発見したと言われていますが、Wikipediaには発見などしていないという説が書かれています。ここではそのことが問題でなく、消費者の頭の中を制する者が、ビジネスを制する。よって、一番のりすることが大事だが、スペリーランドやコロンブスのように、一番のりしても、消費者の役に立つ情報を伝えることができなければ、ポジショニング戦略は成功しないと理解しました。
「事業領域」の関係の本を読み、以前読んだこの本を思い出して開いたのですが、経営の基本要素であるミッション・ビジョン・ドメイン(事業領域)の関係について気づきがありました。マーケティングのコトラーが序文を書き、4P(製品、価格、場所、宣伝)の前にもう一つ必要なP(ポジショニング)と述べています。戦略の立て方と実践法を説いた名著とも言われています。

「間違いだらけのビジネス戦略」ビジネス評論家 山田修著

㈱クロスメデアパブリック発行 2015年11月

「間違いだらけのビジネス戦略」ビジネス評論家 山田修著平均年収1253万円で報酬青天井。
利益率50%・・・あの“黒子”企業、卓越の秘密

○M&A増加の背景に後継者不足問題
競合するレコフの調査によれば、日本におけるM&A件数は06年に約2700件とピ-クをつけた後、08年のリーマン・ショックで停滞したが、11年を底として急速に回復してきている。14年位は約2300件まで回復し、日本M&Aセンターの主セグメントとなっている「In-In(国内企業同士のディール)」も総計1500件を超えた。
中堅、中小企業のM&Aが増えてきた背景には、創業経営者やオーナー経営者の高齢化と後継者不足がある。子息や同族が経営承継してくれればいいが、そうでない場合、つまり従業員経営者を求める場合にネックとなるのが、資本承継と金融機関に対する信用保証である。創業経営者が数十億円を限度とした個人保証を銀行に入れているような場合、従業員携絵者ではそれにとても対応できない。社員としての退職金では数千万円を詰めるのがせいぜいだろう。後継者を確保できず、黒字廃業などが多数みられるようになってきている。

○賢い戦略的な一手
そこで売却先の発掘がM&A会社のKSF(キー・サクセス・ファクター:主要成功要因)となるわけだが、日本M&Aセンターはここでも周到な手を打っている。12年に日本M&A協会を立ち上げ、全国の有力会計事務所・税理士事務所との提携ルートを作ったのだ。前述の「スモールキャップ」や「ミドルキャップ」をくまなく抑えているのが各地域の会計事務所や税理士事務所だ。これらとのネットワークを確保したのは、戦略的にとても賢い一手だ。(P.179)

山田修先生は、戦略指導の拠点として「経営者ブートキャンプ」を開催しています。私は2014年に参加しました。先生にはそれ依頼、親身に指導いただいています。「いい経営者を育てたい」それが私の願いだ、とおっしゃっておられました。
今回の書籍は、大手ニュースサイト「ビジネスジャーナル」で連載したものを抜粋、まとめて本にしたものです。大塚家具、マック、スタバ・・・等超ビック企業の戦略を辛口で評価しています。日本M&Aについては、「戦略的にとても賢い一手だ」と評価しておられたので、あえて本日の1ページに載せました。先生に指導いただいた、戦略策定技法「戦略カードとシナリオライテング技法」はこれからも実践的に使い、理解を深めていきたいと考えています。

「ちいさくてもいちばんの会社」坂本光司&坂本光司研究室著

講談社2012年7月発刊

「なぜこの店では、テレビが、2倍の値段でもうれるのか?」でんかのヤマグチ代表取締役 山口勉過疎地の小規模スーパーで生まれた住民思いのおはぎ
株式会社さいち
宮城県仙台市の中心部から車で40分ほど走った秋保温泉入口に、小さな食品スーパー。
□きっかけと道程
 手作りおはぎの販売は、惣菜づくりの一環として八一年(昭和56年)から細々とスタートしました。おはぎを作るきっかけは、地元の顧客から「東京に嫁にいった娘が孫を連れて帰ってくるので、昔食べていたおはぎを孫たちにも食べさせてあげたいが、どうしてもうまくつくれない」と相談を受けたことでした。何とかお店を盛り上げたいと考えていたときでもあり、チャレンジすることにしました。
 奥さんである専務の悪戦苦闘が始まりました。「二個も三個も食べたくなるものを」「お腹がすいているときは何個でも食べられるものを」と約一か月間、ほぼ不眠不休で作っては捨て、つくっては捨ての繰り返しで作り上げた味なのです。

「日本でいちばん大切にしたい会社」(あさ出版)の著者坂本光司教授の本です。「さいち」はNHKのプロフェッショナルの技で初めて知りました。「さいち」の代表的な特徴は、当店で販売している大半の商品が手作りの自家製品ということや、惣菜部門の比率が一般のスーパーと比較して、極めて高いことです。(P153)と書いてあります。小規模でも生き残れる秘訣がここにあります。顧客の求めるものを提供するために、「あきらめずチャレンジする!」大事なことを教えてもらいました。いつか行ってみたいと思いました。

「なぜこの店では、テレビが、2倍の値段でもうれるのか?」でんかのヤマグチ代表取締役 山口勉 (2)

日経BP社 2013年2月発行

「なぜこの店では、テレビが、2倍の値段でもうれるのか?」でんかのヤマグチ代表取締役 山口勉月次では遅すぎる
「日次決算」で当たり前
□今では「粗利39.8%」になりました
 量販店に負けないために、安売りはしない。あえて逆に「高売り」する。そう心に決めた私が切実に知りたくなったのが、日々の活動で、どれだけ利益がでているかでした。
 それまでは業績を月次で管理していましたが、特に問題はありませんでした。しかし「高売り」作戦を実施するにあたって、月次管理ではあまりにも遅すぎると思いました。
 高売りを始めた途端、次ぎの日から全く売れなくなるのではないか。正直に言って、そんな心配がありました。どれだけ高くしたら、どれぐらい売上が落ちるのか。毎日数字を確かめたいと思ったのです。
 この「高売り」は1996年当時の25%から、10年がかりで35%に引き上げる作戦です。当然、一朝一夕にはいくわけがありません。日次管理に切り替えたのは、こうした理由からでした。この日時管理を私は「日次決算」と名付けました。ヤマグチでは毎日が決算日、そんな気持ちから命名したのです。

日次決算の経営資料は、①担当者別売上リスト、②担当者別粗利グラフ、③商品別売り上げリスト、④商品別粗利グラフ、⑤販売先別売上リストの5つの資料です。特徴的なのは、「売上」とは販売額ではなく、「粗利益額」と定義していることです。そして本には、各資料のチェックと判断の基準までが書いてあります。毎日見ることにより、問題点がすぐわかり、異変を感じたらすぎ手を打つことができるようにしてあります。

「なぜこの店では、テレビが、2倍の値段でもうれるのか?」でんかのヤマグチ代表取締役 山口勉

日経BP社 2013年2月発行

「なぜこの店では、テレビが、2倍の値段でもうれるのか?」でんかのヤマグチ代表取締役 山口勉「でんかのヤマグチ」は、東京都町田市にある小さな家電販売店です。
この地で私は48年間、商売を続けてきました。かつてバブル経済のころに複数の店を出したこともありますが、今は町田市郊外の1店舗崖です。2012年3月期の売上高は12億4千万円。最終利益は3000万円ほどです。ごく一般的な零細企業と言っていいかもしれません。
社員は40人ほど、そのうち、15人ほどが訪問販売の営業担当員です。この社員たちは、お客様の自宅を定期的に訪問し、テレビや冷蔵庫、エアコンといった家電を売っています。店舗はスタッフ8人。修理部門の社員が4人、残りが総務・経理等本社の社員です。創業以来、「お客様は待っていても店には来てくれない」と、訪問営業に力をいれてきました。訪問営業と店舗営業の売上比率は65対35になります。
一見、何の変哲もない町の電気店に注目いただいているのは、「このデフレ時代に、安売り競争をせずに高い値段で商品を売っているのもかかわらず、生き残っている電気店があるという点でしょうか。
しかも、東京・町田はヨドバシカメラ、ヤマダ電機等が密集する家電激戦区です。価格競争で抜きん出た、これらの大手を無効に回して、なぜ小さな店が生き残れるのか?

私は、40年前SANYO電気の販売会社に勤めていた経験があります。当時は、「サンヨウ薔薇チェーン」という名称で販売店を系列化し、商品、販売促進、経営情報を提供するという仕組みで、メーカーが販売店の経営状況を把握するという仕組みがとられていました。今は、量販店の台頭で系列店が姿を消し、メーカーの存在すら危うくなっています。その時代に「でんかのヤマグチ」は「もう安売りはしない」という独自の戦略で勝ち残っています。