一倉定の社長学「販売戦略・市場戦略」 一倉定著 日本経営合理化協会出版局
(マーケティングとは)
市場というものは、そこに顧客がいる、そして顧客こそ企業存続の鍵を握っているのだ。その顧客にどう奉仕するかで企業の運命が変る。この点については、私はすでに「経営戦略編」で結論を出している。「変転する市場と顧客の要求を見きわめて、これに合わせて会社を作りかえる」ことこそ事業経営であろうという結論である。
この結論から導きだされるまず、第一のことは、顧客の要求とは何であるかをつかむことである。さらに、その要求はどう変わってゆくのかの注意深い観察を必要とすることである。
第二には、顧客の要求を満たすために、我社はどうしなければならないか、何を捨て、何を築いてゆかなければならないかということである。(P.29)
この後に続くのは、顧客の立場にたって考えてこそ・・・という文章ですが、ドラッカーの「現代の経営」にある、上巻第6章われわれの事業は何か、に書いてある内容とほぼ一致します。ドラッカーの「現代の経営」は1954年の著作で、1965年にダイヤモンド社から発刊され、社長の「教祖的存在」と慕われた一倉定氏の、この本は1977年です。学んだことをよく理解し、実践できる人と、私のように学んだだけで終わってしまう人の違いを感じました。